school life

□第16話
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元旦の朝。
初詣の帰りにふと思い立ってお年玉をたかりに来たはいいけど、まだ早いかな。起こしちゃったら静雄先輩はともかく、先輩のご両親に悪いよね。また後で来よう。一回帰って出直した方がいいね。

「寒い…」

初日の出を見たばかりだから最低気温ぐらいのはず。今日は何度だったっけ。着膨れが気になってあまり重ね着して来なかったのはとんでもない失敗だったよ。おかげで臨也先輩と引っ付いて歩けたけどね。色々と思い出して道の真ん中で赤くなってしまった。

「佳奈?人ん家の前で何してんだよ」
「あ、静雄先輩。」

後ろから声が聞こえた。邪魔だったかもしれないけど、新年早々アホの子を見るような目をしないで欲しい。

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」
「おう、よろしくな」

あれれ、意外とまともな返事だ。

「お年玉をたかりに来ました」
「ねぇよ」
「ちぇー」

まあ大して期待していなかったさ。

「静雄先輩は何をしていらっしゃったんですか?こんな朝早くに散歩だなんてじじくさいことはないですよね。」
「じじくさいとか言うな。…初詣」
「ああ、美桜と。」
「な、何で知ってんだ?」
「何となくです」

実際は神社で目が合ったから知ってるってだけ。美桜も私もバッタリ会うなんて事がないように必死に離れたなぁ〜。彼氏同士が喧嘩しだしたら最悪だもん。

「お前は何してんだよ」
「同じ事を言わせないで下さいよ。静雄先輩からお年玉を貰おうとわざわざ新年のご挨拶に来たんです。ボケましたか?」
「うるせぇな!さっきから何だ、俺を怒らせてぇのかよ」
「とんでもない!元旦に怒られる趣味はないです」
「んな趣味あるやつなんざいねぇよ」

先輩はまたアホの子を見るような目をしている。怒りが収まったのはいいことだね。と、平和島家のドアが開いた。

「兄貴…家の前で何してるの」

中から出て来たのはイケメン。

「お、悪ぃ。五月蝿かったか?」
「別に。その人…」

誰?兄貴って言ってたよね。…え、もしかして!?

「佳奈お姉ちゃん?」「幽君!?」

感動の再会なのに幽君がやけに冷めているよ。そういえば表情変化がない子だった。

「久しぶり!何年ぶりだっけ?」
「明けましておめでとうございます。」
「あ、うん、おめでとう」

静雄先輩とは違って冷静な子に育ったね。とっっってもいいことだよ。

「だいたい4、5年ぶりくらいですよね。お久しぶりです。」
「うわぁ〜、大きくなったね!今中学生だよね。」
「中2です」
「彼女はいるの?」「いません」
「嘘、こんなにカッコイイ男の子を放っておく人がどこにいるの!」
「学校にいます」
「おい」

話に割り込んできた静雄先輩。感動の再開を邪魔するだなんて気が利かないなあ。

「はい?」
「風邪ひくから家入れ」

さすが静雄先輩!気が利くね。さっきから心の中で罵倒して申し訳ありませんでした。

「いいんですか?」
「散らかってても良いならどうぞ」

幽君も良いって言ってくれた。

「じゃあ、少しお邪魔します」
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