school life

□第17話
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1月も終わりに近づいてきた。寒さは日々突き刺すように厳しくなっていくばかり。でも今日はいつもより少し温かく感じられる。最低気温0℃最高気温5℃だけどね!私みたいな年齢だと『かぜのこ』とは程遠いな〜寒い寒い…ああダメだ、今日はダメ。楽しくしなきゃ。何たって、幼なじみの静雄先輩が17歳を迎える誕生日なんだからね!
何と挨拶してやろうか、とウキウキ気分で家を出るといつものように臨也先輩が曲がり角で待ち伏せていた。毎朝ここでテンションが上がるけど、今日はいつもより前にハイテンションになっていた。

「おはようございます。」
「おはよう。ニヤけてるけどどうしたの?いいことでもあった?」

朝から『ニヤけてる』だなんて酷い悪口を言われたのに、ウキウキ気分の私が気に留めるはずもなく。

「いい日なんですよ〜。臨也先輩、今日は無駄な殺生は控えて下さいね。」
「は?急に生類憐の令みたいなこと言われてもねぇ。俺、普段から生き物は大切にしてるよ?一応元生物部員だし」
「ああ、新羅先輩と一緒にワイワイやってましたよね。二人でワイワイ。それは置いておくとして、今日は喧嘩しちゃダメですよ?」
「誰と?俺は他人とは滅多に喧嘩しないよ?あと今さりげなく『二人で』を強調したのは何で?」
「静雄先輩と毎日殺し合いみたいな喧嘩してますよね」

私がじと目で臨也先輩を見上げると、先輩は目線を少しずつずらしながら苦笑いした。

「『他人とは』って言ったじゃん。俺はシズちゃんを人間だと思ったことないね。」

なんて失礼な!本人が今いたらソッコー喧嘩だね。今は本人がいないから私が代行しよう。登校者の人混みにまぎれたのを見計らって、臨也先輩の足を思い切り踏ん付けた。

「イッ」
「殺生禁止っていうのは言葉の暴力も禁止ってことです!」
「いいんだよ、人間じゃないヤツに言葉なんて通じなイッたぁ!」
「臨也先輩、今日は理解力が随分とないですね」

校門を通ってからすぐ下駄箱に向かい、そのまま階段を駆け上がった。今日は臨也先輩と話が合わない。ちょっと生意気な態度取っちゃったけど、悪いのは臨也先輩だからいいんだ。

「どうせ今日がシズちゃんの誕生日だからニヤけてたんでしょー。…全く、俺の彼女のくせに。俺の誕生日の時はもっとそっけなかった…いやまあ、デートしたけど、さぁ。……幼なじみだとかムカつく。あーシズちゃんムカつく!」
「臨也、朝からどうしたの?とうとう気が狂ったかい?ああ、元からか。もしかして佳奈ちゃんと喧嘩?まあそんなこともあるさー。今日は静雄の誕生日なんだからちょっとくらい我慢しなよ?」
「新羅うるさい」

と臨也先輩(達)が喚いていることを私は知らない。
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