長編夢

□4
1ページ/3ページ

数時間後 川越街道沿い 高級マンション

「なんか、急にガランとしちゃったなあ」

先程姫香が押しかけて来たが、彼女がまたどこかへ行ってしまったので現在部屋にいるのは新羅一人だ。

「みんな元気だなあ。昼間から外に出るなんて。あ、姫香ちゃんに紅茶でもだせば良かったかな。まあいいや。姫香ちゃんだし。」

と、その時、部屋のチャイムが鳴り響く。

「おや、静雄かい?それとも全身の骨を折った臨也かな?」

鼻唄混じりの独り言を呟きながら部屋のドアを開くと、威圧感のある男達が数名立っていた。

「四木さん、どうしたんですか?」
「少し、聞きたい事がありましてね。」

言うが早いか、四木は部屋の中に上がり込んだ。

「ちょっとちょっと、四木さん?」
「誰か、客が来ていたようですね。」

流し台の上に多すぎるコップがあり、横に小さく丸められたスチール製のコップがあった。

「ああ、それは見れば解るでしょう。静雄の奴が来てたんですよ。」
「これは…」

四木の目に留まったのは、テーブルの上にあるノートパソコンだ。電源は入ったままで、デスクトップがまる見えだ。

「浅木さんも来ていたんですか?」
「あ、はい。私が、静雄が連れて来た小さい女の子の面倒を見るように言ったら『大雑把すぎる』って怒ってどこかに行ってしまったんですよ。まあ、姫香ちゃんのことですからおそらくその子を探しに行ったんでしょう。それにしても、よくコレが姫香ちゃんのだって解りましたね」

新羅はパソコンをコツコツ叩き、画面を見て目を丸くした。

「これ…」
「それをトップにする人は浅木さんくらいしかいないでしょう。」

たくさんの写真が貼付けてあるような画面だった。セルティと新羅のツーショットや来良学園の生徒達の笑顔、門田達の写真や勿論静雄や臨也の写真までその画面に収まっていた。四木や赤林など粟楠会の面々の写真まで含まれている。

「私達の写真なんて、何処で入手したんでしょうね。」

四木が呆れつつ呟いたが新羅の耳には届いていなかったようだ。

「姫香ちゃんだけ…入ってない…。」

新羅の言葉に少し表情を変えた四木だったが、すぐに元の話題に戻した。

「その、浅木さんが探しに行ったという女の子は、今、どちらに?」
「姫香ちゃんにでも聞いて下さいよ。彼女、今おそらく相当金欠でしょうから。依頼がきたとたん飛び上がって喜びますよ。」
「…浅木さんと連絡がつかないんですよ。だからここに来たんです。」
「え?そうでしたか。すみません、気が回らなくて。多分その女の子は…」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ