school life

□第2話
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セルティさんが励ましてくれるんだから、まだまだ私の人生捨てたモンじゃない。入学してまだ少ししか経ってないんだから良い友達をつくるチャンスはどこにでも転がってるだろうし、好みのタイプの人も一人や二人くらいいるだろうね。
臨也先輩は顔良し、成績良し、性格かなり悪し・・・。新羅先輩はどうかな。顔普通、成績かなり良し、性格は

「どうしたの?」

ぼうっとしていた私はいつのまにか新羅先輩に顔を覗き込まれていた。

「新羅先輩って、子供の頃からずっと優しくて面倒見がいいですよね。」

先輩は少し驚いたような顔をしてから、目をきらきら光らせた。

「ありがとう。セルティ!今の聞いた!?」

解剖好きなのは目を瞑るとしても、セルティさんしか眼中にないのが問題だ。もっとも、顔を近づけられても特に何も感じなかった時点で論外ってことなんだろうね。

「誰か良い人紹介してくれませんか?」
「彼氏欲しいの?折原君」「臨也先輩以外で。」
「じゃあ静」「静雄先輩以外で。」
「うーん、幽君は?」「今確か中二ですよね、幽君。」
「年下でもいいと思うよ。俺なんてセルティといくつ離れてるか分からないし。」
「同い年か年上が好みです。誰か知ってる人いませんか?」
「特に。」

結論。新羅先輩に聞いても意味がない。彼には大きな欠点がある。

「友達、いないんですね。」
「僕にはセルティがいてくれればいい。」

深い愛ゆえの欠点なのかもしれない。ヘラヘラと恥ずかしいことを言う先輩はもう末期。セルティさんにあまり相手にされていないのが気の毒だ。

『臨也はともかく、静雄もダメなのか?よっぽどいいじゃないか。』
「ああああ、セルティが私以外の男に気があるなんて!!!」
「静雄先輩はちょっと過保護なお兄ちゃんみたいな人ですよ」
『静雄が過保護!!!???』

小さい頃、喧嘩をして私が軽く怪我をしたときの先輩の慌てぶりは尋常じゃなかったような気がする。そういえば、パン屋のお姉さん元気かな。今度遊びに行ってみよう。

「そもそも、静雄先輩の好みの女性は年上の大人っぽいお姉さんですよ。」
『そうだったのか!?』

本当に知らなかったらしく、素直に驚くセルティさん。可愛い。そんなことを思っていると、セルティさんの携帯の着信音が鳴った。セルティさんはメールを確認してから寂しそうにPDAを差し出した。

『ごめんね、仕事が入っちゃったから行かなくちゃ』
「また今度来ます。お仕事頑張ってください。あと、首探しも。」
『ありがとう。じゃあ、またね。』

いてらー。という訳で私もそろそろ帰ろうか。

「ねえ、佳奈ちゃん。」

新羅先輩が少し暗い声で話しかけてきた。どうしたんだろう、いつもは訳がわからないテンションなのに。私が振り返ると、先輩は真剣な表情で話し出した。

「セルティがもし首を取り戻したら、彼女はどうなると思う?」
「え?」
「記憶がもどって、本来のデュラハンの仕事にもどったら、ここから・・・、俺たちの前から消えてしまうんじゃないかな。」
「・・・」
「俺の推測だけどね。セルティがここから離れたくないと思っていてくれても、それが首の意志とは限らない。」

確かにそうかもしれない。急に怖くなった。大好きなセルティさんが突然いなくなってしまったら、私はどうする?良かったですね、と笑っていることができるのろうか。心から祝えるだろうか。

「・・・俺は、首が見つかるのが怖い。」

いつになく真剣な表情になった新羅先輩。恋は、人を変えるらしい。私が無言で下を向いていると、先輩がフッと笑いかけた。

「ごめん、今のは忘れていいよ。」
「ヤンデレみたいですけど、セルティさんのことをそんなに大切に想えるのは、カッコいいと思います。」

本気でそう思った。この先輩はただの変態メガネではない。

「ありがとう」

そう言って笑顔になった先輩。やっぱり新羅先輩には笑顔が一番だね。

「じゃあ、また明日。」

帰ろうとして玄関に向かうと、ドアの前に立った途端にチャイムが連打された。誰だよ、なかなかいいこと言ったのに。
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