school life
□第6話
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「じゃあ、これ持って下さい。」
「おう」
あれれ?やけに素直だ。鞄と傘どっちも持ってくれた。静雄先輩はやっぱり優しい人だなぁ。昔から変わってない。髪の毛染めたし、背もかなり高くなったけど、優しい所と馬鹿力な所は変わってないね。良かった。
「お前、昔と全然変わってねぇよな。」
「え?どこがですか?」
体つきはずっと大人っぽくなってるし、あと頭の中身も少しはマシになってるはずなんだけどな。
静雄先輩は昔っから鈍くて鈍くて…!私が何考えてるか全っ然わかってなくて、喧嘩してる時も余計な気を使って、近付くななんて言ってさぁ!というわけで私は静雄先輩と仲良くしていたかったから喧嘩に巻き込まれても無傷で抜け出せる程度には強くなった。それをこの人は変わらないと!
「馬鹿な所、全然変わってねぇよ」
「静雄先輩には言われたくないですよ。お互い補習仲間でしょう」
「どんな仲間だよ」
「馬鹿同士、勉強できなくても生きていけるように力を合わせて頑張りましょうよ!」
「勉強しろよ」
「キャー。静雄先輩がまともなことを!」
意外と意地悪な先輩だった!残念。昔はもっと可愛かったのにな。プリン食べてたしアメ嘗めてたし滑り台投げてたし机投げてたし。
訂正。静雄先輩は可愛くなかった。変な思い出しかないってどういうことだ。万年反抗期な人っているものなんだなぁ。
「優しい所も変わってねぇ。」
「?今、何て言いました?」
回想にふけっていたから聞いてなかった。
「…何も言ってねぇよ!」
「わー。怒った。」
ボソリと言う方が悪いんだ。反抗期青年には素直になってほしいね。静雄先輩が素直な所なんて想像できないけどさ。