school life
□第7話
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「佳奈ちゃんがモテるのなんて中学生の時から知ってるよ。」
臨也先輩は静雄先輩の話題が嫌で仕方ないらしく、無理に私のモテ話にした。
「嘘でしょう。」
「知ってるからこんなにアピールしてるんじゃん。佳奈ちゃんは俺の〜って。」
アピールしてたの!?確かにほとんど毎日一緒に帰るし、学校でも話すけど。他の人には『付き合ってる』って見られてる?そうだよね、一緒に帰ってるからね。仕方ないか。
「中学生だった時さ、後輩が『佳奈先輩と折原先輩って、付き合ってるんですか?』って聞いてきたこと何回かあったでしょ?」
「は、はい。」
「俺が『名前呼びなんだ。仲いいんだね』って言ってちょっと睨んだら大概は『鈴木先輩』って呼ぶようになったよね。」
この人いつの間にか後輩虐めてた!可愛い後輩を睨むなんてありえない。
「面白いよね〜」
「先輩が意地悪なだけですよ!」
「佳奈ちゃんが優しいだけだよ。美人なんだから気をつけないとすぐ惚れられちゃうよ。」
「別に悪いことではないですよ。」
「俺がただの後輩虐めになるでしょ」
「知りませんよ、そんなの!」
なんだかんだ言って結局臨也先輩と一緒に歩いてるんだから私は相当心が広いんだなぁと自覚した。美人って言われると正直照れる。しっかりしろ私。相手は臨也先輩だぞ。面白がってるだけだ。
「今だって私をからかって楽しんでるんですよね」
「ん?まあね。」
悔しい。ついさっきは静雄先輩トークで私がからかう側だったのに。
「それこそ嫌がらせですよ!」
「佳奈ちゃんが可愛いのが悪いんだよ」
『にっ』と笑う先輩。もう『可愛い』に慣れちゃったよ。こんなに言われるといくら私でも感覚が麻痺するものなんだね。
「そろそろ俺を好きになってもいいだろ?」
「ありえないです」
臨也先輩は私をからかってるだけだ。だから好きになるはずない。
「厳しいな。」
「残念でした。」
なんでだろう。最近『好きじゃない』って言うたびにもやもやする。恥ずかしい訳でもないのに下を向いてしまう。
「夏祭り楽しみにしてるよ。じゃあね!」
もう分かれ道まで来てたんだ。気付かなかった。
「はい」
私は無意識に、臨也先輩の背中が見えなくなるまで突っ立ていた。次に会うのは夏祭りか。メールしていいかな。待ち合わせ場所とか時間とか決めてないもんね。臨也先輩からくるのかな。ん〜。どうしよう。前まで気にも留めなかったことなのに悩む。