†無法地帯†
□衣替え?
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―いつも通りの巡察。
そのために着替えていたら、その人物(?)は現れた。
ガラッ。
襖を難なく開け、いきなりの闖入者に僕は開いた口が塞がらなかった。
「…何て間抜けな顔をしている」
本人は、顔をしかめ怪訝そうな顔でこちらを凝視していた。
紅い瞳に、美しい金糸の髪。
まさに異形の姿。
「……風間…?」
「貴様の目は節穴か?俺以外の誰に見える」
溜め息混じりに吐き出した言葉。
その瞳に揺らぎは感じられない。
それもそうだ、僕と風間は恋仲であり、体を何度も交えたことだってある。
けど、風間は気紛れだからたまにフラッとやってくる程度だ。
「…来てくれたのは嬉しいんだけど、僕これから巡察なんだよね」
羽織を身に纏った僕を見てなるほどと風間は頷いた。
そしていきなり自分の上着を脱ぎ捨て、帯に手をかけていた。
「ちょ、千景っ!?」
急に何をするのかと思えば、目の前で脱ごうとしている恋人に慌てるしかない。
「何だ」
「まさかヤるつもり?」
「……阿呆か、貴様は。貴様と違って毎度発情期ではないわっ」
軽く睨んだ風間に、少し怯みながらも脱ぐ理由を聞くしかなかった。
「………総司、着物と羽織を貸せ」
差し出された手に反応が遅れた。
それも当たり前だ、いきなり過ぎるから。