†無法地帯†

□衣替え?
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「え?」
「だから、俺も巡察に行くと云っている」

催促されるように伸ばされた手。
仕方なく、僕の着物と羽織を渡す。

目の前で晒された白い肌。
何とか欲情するのを堪え、着替え終わるのを待った。



でも、よくよく考えると千景から僕の匂いがするってちょっとエロくない?などという考えが浮かんだ。


「おい、額当ては?」
「ああ、あるよ。後ろ向いて」


風間が素直に後ろを向いたのを確認した後、額当ての紐をしっかりと結んだ。


「毎日、こんなものを着ているのか」
「文句は云わないでよ?」


悪戯っぽく笑みをし、長い廊下をただ歩く。

後ろに着いて来てくれている事が嬉しくて、何度振り返って口付けをしたか分からない。


「…組長!!」
待ちくたびれたらしく、隊士達は僕を見つけるなり声を上げた。


「ああ、ごめんね。ちょっと立て込んでてさ。…一番組、行くよ」


僕の掛け声で、隊士達を後ろにつけて歩き出す。


勿論、千景は僕の隣で。


「面倒だな」
「千景が来るって云ったんだから、文句無しでしょ?」

他の隊士に聞こえないように小声で話つつ、千景はムッとした顔で僕を見つめた。



「…ていうか、組長の隣に居るの誰だよ?」「知らね、見たこともねぇよ?」
「夜でも目立つ髪色してるよな」


そんな声が後ろでしたらしく、僕は刀を向けニッコリと笑みをした。



「無駄話しているようなら、僕が斬っちゃうよ?」


流石に隊士達は口を噤み、蒼白した顔で僕を見る。


「じゃあ、君達はあっちを回って。僕らは二人で充分だから」


隊士を散らばせて、残ったのは千景と僕の二人だけ。



「ささっと済ませて、帰っ…んっ…」

歩き出そうとする千景を抱き寄せ、柔らかい唇を奪う。

歯列をなぞり、舌を絡ませ貪るように口付けを繰り返した。


僕のだか、千景のだか分からない唾液が、千景の顎を伝い垂れる。
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