OP 短編

□おはよう、おやすみ
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部屋に差し込む朝日が眩しくて目を開けた。
いつもより眩しいそれに少し寝坊したということが分かり、
慌てて起きようとした。
が、そこで初めて自身の身体が
温かい腕に拘束されていることに気が付く。




「エース…」



後ろから腕を巻きつけているのは恋人だった。
いや、これが違う男だったら問題だが。



冬島に近づいているため部屋の中も寒い。
しかしこの男は相変わらず上裸でいる。
頭おかしいんじゃないの、と思うが
悪魔の実の能力だから仕方ないのか、と納得する。



…それにしても、


「エース、起きて離して、
ねえ、ちょっと…起きなさいよ、」


腕をぺちぺち叩いて起こそうとするが、
まったく起きる気配がない。


部屋の外が賑やかになってきた。
そろそろ皆が起きてくる時間である。


「エース、エースってば」


「ん…、あ?」


「やっと起きた…もう皆起きてるから早く離してエース」



エースの腕の力が緩まり私はそこから抜け出そうとした。
…が、今度は私の腕が掴まれてしまい動けなくなってしまった。


「エース…離してよ…」

「嫌だ」

「何で」

「俺が眠いから」

「…意味が分からないんだけど」

「ユヅキいねぇと寒いから寝れねぇ。」

「服着なさいよ…」

「着たらユヅキと寝れねぇ」


何を言い出すんだこの人は。
はあ、とため息をつき私はもう一度布団の中に入った。
エースは一度言い出すと聞かない。
ここは諦めるしかない。
さっきは後ろからエースに抱きしめられていたが、
今度は私が正面から抱きついた。
そしたらエースは満足そうに笑って抱きしめる腕の力を強くした。






(おやすみエース)
(おう、おやすみのチューは?)
(馬鹿、早く寝なさいよ)

 

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