OP 短編

□崩れたのか、崩したのか
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なにが、起こった。
私の目の前には見馴れたそばかすの散る、顔。
そしてそいつの唇と私のそれは何故かくっついてる。


なんで、こうなった。
だって、さっきまで普通に話してたじゃない。
いつも通り、何でもないような話でバカみたいに笑い合って、そしたら、
私が背もたれにしていた本棚から本が落ちてきて、それに気づいたエースが咄嗟に本をキャッチして。
わーエースすげぇーと思ってたら、
予想以上にエースの顔が近くにあって。
2人でその距離に驚いて固まっていた。ら、いつも顔をくしゃっとして笑ってるエースが始めてみるくらいに真剣で。

その表情になんかどうしたらいいか分からなくて、
でも視線を外すことなんて出来なくて、
そのまま私に吸い込まれるようにエースが唇を寄せてきた。


別にこういうことする関係じゃないし、
私はずっとずっとエースが好きだけど、
エースは何考えてるのかわかんないし、



もう、なんだ、訳わかんないぞ。



名残り惜しむように静かに離れた唇が、すっと息を吸った。


「…悪ィ、好きだ」

な、にが、悪ィ、だよ。
その後に愛の告白ってどういう神経してんの、


「バカ、バカバカバカバカ」


「…は、」


「何よ、今まで普通にしてきたじゃない、友達だったじゃない、
だから私も必死に気持ち押し殺して友達としてやってきたのに、
…なのに!…なのに…ズルい、エース…」



エースの胸元で拳を震わせながら一気に吐き出した。


上にあるエースの顔は恥ずかしすぎて見ることが出来ないけど、きっと驚いてるんだろう。
何も言ってこない。



私は拳にもう一回ギュッと力をいれて息を吸った。
こうなったらもう前みたいに友達としてなんて見れやしない。
私たちの今までは崩れたんだから、
いや、崩すんだ、




「すき」



 

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