OP 短編

□答えを見つけてくれたのは
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今まで行ってきたどの宴よりも騒がしい夜。
今日は一年で最後の日。
白ひげ海賊団の甲板の上は沢山の船員で埋め尽くされ、とにかく騒がしかった。
たかが日付が一回変わるだけなのに、皆気持ちを高揚させて酒を呑む。

おれはなんとなく居心地が悪く、離れた場所でひとり海を見ながら酒を煽っていた。



親父ができた。家族ができた。
おれの親父は白ひげだ。

…だけど、血は、この体に流れる血は、違う。
その事実は決して変わる事のないもので、そしておれを一生苦しめるということも変わらないだろう。

…生まれてきて、良かったのか。
一度は吹っ切れたつもりだった。皆と出会って。
だがずっとおれを苦しめてきた問題はそう簡単には消えることはなくて。



はぁ、とため息を吐き出し喉に刺激物を流し込む。
誕生日が近づいてるせいか。余計なことを考えてしまう。



「なにカッコつけて黄昏てんのよ」

「ユヅキ、」

「主役がしょげたツラしててどうすんの、ほら、笑いなさい」

「主役?」


なんで、おれが主役なんだと、相当とぼけた顔をしていたのか、ユヅキはふっと吹き出して笑った。


「誕生日おめでとう、エース。
…もう日付変わってんだからね」

「…あァ…サンキュ」


「…嬉しそうに言いなさいよ、少なくともあたしはあんたが生まれてきてかなり嬉しいんだからね」


そう言ったユヅキの顔は酒に酔ってるから赤い訳ではないだろう。




ああ、そうか、おれは。



ふいっと顔をそらしながら彼女が投げ捨てた言葉と彼女自身に、




「ありがとう」

ここにいて、いいんだ。
生きてて、いいんだ。



(ううううっさい、別に対した意味は含まれてないんだからね)(素直じゃねェな、おれの女のくせに)(うっ…)(今夜はおれの部屋で寝ろ、決定。)(ちょっと!皆エースと話したがってんだから、早く皆のところに…)(うるさい、行くぞ)


 

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