OP 短編

□アイ will ラヴ ユー@
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「早く起きろ!こんの、馬鹿エース!」

ごん、という鈍い音をたてながらおれの一日が始まった。
うん、いつも通り。
道路を挟んで向かい側に住んでいる幼馴染が起こしにくるのも、その幼馴染がおれの頭をぶん殴って起こすのも、いつも通り。


「いてェ……んん、おはよユヅキ」

「おはよ、早くして。遅刻する、置いてくよ」

口悪いし男っぽいし色気が無い。
だけど、口ではあーだこーだ言ってるけど最終的には優しい。
今だって、何だかんだ言っておれを置いていこうとはしない。

おれの幼馴染はそういうやつ。




「いつも悪いわね、ユヅキちゃん。わたしが行ってもなかなか起きなくて」

「良いんですよ、マキノさん。日課だから」
それにぶん殴んないと起きないし、と付け加えたユヅキはマキノと笑いあっている。

リビングへ入るとお袋とユヅキが話している横で弟のルフィがハムスターみたいにほっぺ膨らましながら朝食を詰め込んでいた。

「ふぇほはひ、ぇったふうぇいっぽぱ!」

「ルフィ汚い。のっくんでから喋って」

しかめっ面をしながらもルフィが口から盛大に出しまくった食べ物をティッシュでとってあげているユヅキ。
こういうところ。
面倒見がいいユヅキはおれらの姉ちゃんみたいな存在でもある。

ルフィの向かい側に座って用意されてあった朝食に手を付ける。

「いただきます、…あ、そうだユヅキ、今日の放課後空けといて」

「ムリ。ナミたちと買い物行くし」

「はァ⁈またかよ…また先越された」

この間もそうだ。映画みようと思って誘ったら「ナミたちともう見たし、行かない。しかもつまんないよ、ソレ」だって。
はァ、と深くため息をつくおれの前ではルフィが「エース振られたのか!」とけらけら笑いやがる。

テメェ!と戦闘モードに入ろうとするとユヅキがため息をついて、

「…先、行ってるわ。マキノさん、行ってきます」

「はーい、行ってらっしゃい」


「ちょ、待てよユヅキ!すぐ行くから待て!」

残りのご飯を勢いよくかきこむと慌ててバックを持って玄関へ向かう。

「ちょっ、歯磨いてよ!汚い!」

「お前が急かすから!」

「分かった分かった、待ってるから…早くして」


なんだかんだおれたちに甘い。
そんな幼馴染。


 

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