OP 短編

□アイ will ラヴ ユーC
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「…こういうことをハッキリ言うのはあんまり良くないかな、とも思うの。お互いにいい気持ちはしないし…だけど。」

放課後、体育館裏…とまではいかないが、わたしは本日の授業を全て終え、帰ろうと下駄箱を開けると小さく折りたたんだメモ用紙が。そこにはすぐ屋上に来てくださいと女の子の字で書かれていた。
隣にいたナミはニヤニヤしながら「おぉ、怖」と、思ってもないことを口にして、待ってるわと続けたが、何時になるか分からないし、寒いし。先に帰ってもらった。

そして冒頭に至る。
どーせエースを好きな子でしょ。
この後に続く言葉は…そうだな、エース君から離れて、とか。

わたしが見る限り目の前の女の子は結構イライラしている。
だけどわたしだってかなりキテる。なんでアイツのことで、しかもこんな寒い中で知らない女にぐちぐち言われなきゃなんないわけ。
わたしはイライラを言葉にぶつけた。

「…だけど、なに?」

わたしの怒りと催促を含んだ言葉に、女の子は少し怯んだ表情を見せたが、喉をこくり、と一回動かして口を開いた。


「貴女とエース君はただの幼馴染なんでしょう?だったら、距離を置いて欲しいの。誤解をうむような行動はやめてちょうだい」

女の子の言葉を聞き終わった瞬間、わたしの中で何かがぷつん、と言った気がした。

「あのさ、」

真っ直ぐ目を見ながら声を発すると女の子も負けじと睨んできた。

「言っとくけどわたしがエースの近くに行くんじゃなくて、アイツがよってくるわけ。見てりゃあ分かんじゃないの?
あとね、距離を置くとか何だか言ってるけど、根本的に家が向かい合わせだからムリなんだわ。分かる?
いい加減こういうのやめて欲しいんだよね、ホントうっとおしい。
わたしはわたし、エースはエース!んで、あんたはあんた!幼馴染とか恋人とかそういうのに縛られたくないし、関係ないでしょ一人の人間なんだから。
あんたもそういうことでゴチャゴチャ言ってないでエースを振り向かせる努力でもしてみろよ」


まくし立てるように一気に喋ったわたしに、この女は目を丸くさせて固まってしまった。
知るか、ネチネチしてんの嫌いなんだよ。真っ向から勝負してこいっての。

そのまま屋上を後にしたわたしは真っ直ぐ家に帰り、制服を脱ぎ捨てベットにダイブした。



「…なに、ムキになってんの…」


振り向かせる努力をしてないのは、自分自身だ。


 

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