他校

□次に会うときは笑顔で
1ページ/1ページ


「謙也さん、俺、謙也さんの事好きです」

「うん」

静かな部室に響く声。
居るのは二人だけ。

「愛してます」

「うん」


財前の言葉にただ頷く謙也。
目はうつろで、首や手首には赤い跡や傷が痛々しく残っている。


「だから、好きな人が傷付いていくのを見るのはもう嫌なんです」

「でも、でも俺は、自分で自分を止められんのや。駄目やって分かっとっても、手が、体が動いてまう。」


謙也は下を向き、小さく震えながら言葉を続ける。


「なぁ財前、俺はどうしたらええんや」

「じゃあ、二人で消えましょう」

「ぇ、」

「俺は大好きな謙也さんが一人で傷付いて、一人で死のうとするのが嫌や。でも、どうしても謙也さんが自分で自分を殺そうとするなら、一緒に死にます。」

「でも、それじゃ財前が「やって、このまま謙也さんを一人にしといたら、いつ俺の前から消えるか分からん!謙也さんが居ない、何の価値もない世界に一人で居られるわけないやろ!!」


「ありがとう、財前。愛しとる。」

「俺もっすわ。」


最後に見た彼は、静かに泣いていた。

「「((次に会うときは笑顔で))」」



END.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ