他校
□次に会うときは笑顔で
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「謙也さん、俺、謙也さんの事好きです」
「うん」
静かな部室に響く声。
居るのは二人だけ。
「愛してます」
「うん」
財前の言葉にただ頷く謙也。
目はうつろで、首や手首には赤い跡や傷が痛々しく残っている。
「だから、好きな人が傷付いていくのを見るのはもう嫌なんです」
「でも、でも俺は、自分で自分を止められんのや。駄目やって分かっとっても、手が、体が動いてまう。」
謙也は下を向き、小さく震えながら言葉を続ける。
「なぁ財前、俺はどうしたらええんや」
「じゃあ、二人で消えましょう」
「ぇ、」
「俺は大好きな謙也さんが一人で傷付いて、一人で死のうとするのが嫌や。でも、どうしても謙也さんが自分で自分を殺そうとするなら、一緒に死にます。」
「でも、それじゃ財前が「やって、このまま謙也さんを一人にしといたら、いつ俺の前から消えるか分からん!謙也さんが居ない、何の価値もない世界に一人で居られるわけないやろ!!」
「ありがとう、財前。愛しとる。」
「俺もっすわ。」
最後に見た彼は、静かに泣いていた。
「「((次に会うときは笑顔で))」」
END.