ニオブン
□初恋。
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俺のアイツの第一印象は、[不気味な奴]だった。
日常でもコートの上でも人を騙すわ、意味わかんねぇ言葉喋るわで、他の奴とは全然違う。
他にも人と違うとこは沢山ある。
例えば髪の色とか目の色とか。
…俺は別に良いんだよ!!
初めて喋ったのは、部活の連絡を伝えに行った時だっけ。
その時のアイツの声が、思った以上にイイ声で、何気ない仕草とかがすっげぇかっこよくて。
いつの間にか俺は、アイツの事を見るたびに心が締め付けられるような気持ちを覚えた。
だけどあの時の俺はまだ、この気持ちの名を知らない。
俺がアイツを初めて見た時の感想は、[ガム]じゃった。
日常でもコートでも、いつでもガムを噛んどる。
それ以外は特に。
周りの奴らと同じ、ただの他人。
じゃが、いつだったか、部活の連絡を伝えに来たアイツと話した時。
その時、初めて真っ正面からアイツの顔を見て、目が離せなくなった。
女顔なのに気の強いアイツをいつの間にか目で追うようになり、そのたびに心臓が五月蝿いくらいに脈をうつ。
だが、まだ俺はこの気持ちの名を知らない。
今の俺達は、この気持ちの名前を知っている。
そしてアイツは俺の恋人。
end。