ニオブン
□相合い傘
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今日は午後から急に雨が降ってきた。
朝の天気予報では、美人なお姉さんが爽やかな笑顔で「今日は1日過ごしやすい天気になるでしょう」なんて言ってた。
それを信じて傘を持ってこなかった。
美人は信じちゃ駄目だな。
「丸井!」
走って行こうか迷っていたら、後ろから声をかけられた。
振り向くと、コンビニのビニール傘を持って突っ立ってる仁王。
「傘も持たんで何しとんじゃ?」
「天気予報の美人なお姉さんに騙されたんだよ」
「傘忘れて来たんか」
「うん」
「ざまぁww」
「んだと!?」
何だコイツムカつくな!!
「入れてあげようか?」
「は?」
「相合い傘してあげるって言っとるんじゃ」
…は?何言ってんだコイツ。
「野郎同士で相合い傘なんて寒い真似したくねーよ」
「濡れていいんか?」
「…」
「お前もっとそっち行けよ!」
「これ以上行ったら俺の肩が溶けるなり」
「んな事言ったら、もう俺全身ドロッドロに溶けてるわ!!」
そんなたわいもない話をしてたら、いつの間にか俺の家の前だった。
「じゃ、また明日な」
「おん。晩飯食い過ぎるなよー」
「うっせ!!」
夜の天気予報を見たら、また美人のお姉さんが明日の天気を言っていた。
明日も雨らしい。
「(明日も傘持ってかなかったら、仁王と一緒に帰れるかな…)」
END.