ニオブン
□多重人格
1ページ/1ページ
昼休み、屋上でいつも通り昼飯をたべていたら、丸井が
「もし俺が多重人格だとして、それでも仁王は俺の事を愛してくれる?」
なんて聞いてきた。
「どういう意味じゃ?」
「たくさんある人格の中でも、俺だけを愛してくれる?それとも、俺の人格全部まとめて愛する?それとも…」
嫌いになる?
寂しそうな顔で、小さく最後の言葉を呟く。
「結局それは、全部丸井なんじゃろ?だったら人格全部まとめて愛するな」
「そんな自信、ある?」
「ある。」
「1人1人が、『俺だけを愛して』って言ったら?」
「それでも皆を愛するよ」
そう言うと、少し顔に明るさが戻り、
「そんな事したら、みんな愛想つかしちゃう」
なんて小さく微笑んだ。
「俺はそれでもいいんじゃ。片想いでも、どんなに丸井が俺を嫌っても、俺は丸井の事が好きじゃから」
「そっか、ありがとう。」
「急に何じゃ?改まって」
「別に、何でもないっ!!」
そう言い笑った丸井の顔は、何か吹っ切れたような、爽やかな眩しい笑顔だった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「俺さ、仁王の事好きでよかった」
「うん、俺も丸井の事好きでよかった」
end.