鋼の錬金術師

□いつか罪に呑まれても
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銀時計の続き










「どうしたの、兄さん?さっきから路地があるたびにのぞきこんで」
「別に、何でもねえよ」

とある街でのこと。賢者の石の情報を追ってやってきたこの街でオレ達は今日泊まる宿を探してぶらぶらと歩いていた。そんな最中の弟の指摘でオレは自分の無意識にしていた行動に気づきハッとする。

「あ、またこの前みたいに落とし物したんでしょ!」
「違ぇ!ほら、銀時計だってちゃんとあるだろ」

そう言ってポケットから銀時計を取り出すが、アルは納得がいかない、といった顔でオレを見つめた。

「本当に何でもないの?なんか兄さん最近変だよ。よくボーっとしてるし、かと思えば外ではいつもきょろきょろしてるし」
「お前の気のせいだろ」

よく見てるな、とオレは内心苦笑する。

「気のせいじゃないよ!昨日だってボーっとしてたせいで夕飯遅れてたじゃないか。兄さん、自分でも気づいてるんでしょ?」
「ほんとに何でもねーんだ。だから心配するな」

オレがそう言うと聞き分けのいい弟はそれ以上追及するのをやめた。

「それにしても活気のねえ街だな」

少しわざとらしかった気もするが無理矢理話題を変えてやれば、アルは周りを見渡してオレに同意する。

「そうだね。開いてないお店も多いし…もっとにぎやかな街だって聞いてたけど何かあったのかな?」
「宿屋が見つかったらその辺も聞いてみるか」

そんな会話をしている間にもオレの思考回路はあいつでいっぱいだなんて認めたくなくてオレは軽く頭を振った。相変わらず路地があれば覗き込んでしまうし気を抜くとあいつの顔が脳裏に浮かぶ。街の様子がおかしいのにはあいつが関わっているんじゃないかとか、だったらまだこの辺にいるのかもしれないとか、そんな思考はすべて振り払ってしまいたかった。

そんなこんなでやっと営業している宿屋を見つけて今夜の寝床を確保したオレとアルは、とりあえず二手に分かれて情報収集をすることにした。











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