鋼の錬金術師
□夜の図書館
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ある満月の夜。
僕は仕事が休みで、だからといって最近の仕事で逆転した昼夜を戻すこともできずにぶらぶらと歩いていた。
特にどこに行こうと決めていた訳では無かったはずなのに。気付くと僕は中央図書館の前にいた。
「何やってんだろ…僕。」
閉館後の図書館に人はいない。そう頭ではわかっているのに。わずかな残滓を求めるように体が動いていた事実に僕は苦笑いした。
でも、すぐにその場を離れる気にはなれなくて。しばらくそこでもたもたしていると僕の横で開くはずのない図書館の扉が開いた。
僕は驚いたのといつものクセでつい隠れて耳をすます。
「あ゛〜!!んだよあのチビ、いつまでも残りやがって…今の時間わかってんのかよ…。」
図書館の職員らしい男が鍵の確認をしながら嘆くように言うのが聞こえる。
どうやら閉館時間をとうに過ぎたのに館内に残っているバカがいるらしい。
「へぇ。」
あてもない散歩が、楽しくなりそうだった。
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