鋼の錬金術師
□心の距離*ED
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"ぷにっ"
何となく誰かに頬をつつかれた気がして、オレは目が覚めた。
横から人の気配を感じるが、(きっと頬をつついた奴だろう)ここ2、3日徹夜続きだった身体は動こうとしない。
横にいる奴から感じる安心感に、もう少しこうしていてもいいかもしれない…オレはそう思って、体の力が抜けていくのに逆らわず、隣にいる奴の肩にもたれかかった。
「ーーーーーーーーーーーーーーー。」
隣の奴が何か言った気がする。
この声はエンヴィーだ。
起きなくては…頭ではそう思うのだが肩から伝わってくる程よい体温が、オレの思考を止め、また身体の力が抜けていく。
「ーーーーーーーーーーー。」
耳元で響く、耳障りのいい声。
それはまるで子守唄のようで、オレの意識はまた遠のく。
それに逆らわず心地よい感覚におぼれていると、突然頭が持ち上げられる感じがしてオレの意識が少しだけ浮上した。
「それじゃあまたね、エド♪良い夢を。」
エンヴィーの声。
今回はなんて言っていたか聞き取れた。
オレは軽く頷く。
"パタン"
扉が開く音がして、部屋の中から人の気配が消えた。
まだ身体はだるく、動く気はしない。
そのままぼーっとしていると、さっきまでエンヴィーの肩に触れていた頭が少し涼しく感じた。
せっかく会いに来てくれたのに、話もしないなんて悪い事をしたかもしれない。
でも、オレらの関係はそんな目に見えるものである必要はないと思う。
今、この時も、お互いがお互いを思い浮かべて少しだけ幸せな気分になれればいい。
離れた所にいても、心が近くにあればいい。
オレはそんな事を思って、またやってきた眠気に逆らわず、再び眠りに落ちた。
+end+