novel
□すれ違い
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「鈴ー!」
名前を呼ばれ振り向くと
向こうから走ってくる人影が見えた。
誰だかわからないほど姿は小さいのに、
声だけは大きく、周りの人々が私を見る。
恥ずかしさから顔を下に向けたまま待っていると、
名前を呼んだ人物が目の前に現れた。
「鈴、おはよっ!」
顔をあげると、馴染みの顔
橋本由紀(ハシモトユキ)の笑顔があった。
「……おはよ」
「あれー?テンション低いぞっ。」
あんたのせいだよ、と思いつつ
柔らかめに文句を言った。
「あのさー、遠くから叫ぶのやめてくれない?
結構恥ずかしいんだけど、あれ……」
「だって早く気づいてもらわないと
学校着いちゃうじゃん」