帝人受け

□警察よりも
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あの顔は面白かったなぁ、と思いだしながらアパートのドアを開いた。
今日の昼休みの正臣の顔を思い出し、クスクスと笑いながら部屋の中に入った。

とたんに帝人の顔から笑顔が消えた。
窓から少し入った夕日が部屋を不気味に照らし、その部屋の中央には一人の青年が座っていた。

「帝人君おかえり。ところで、何で笑っていたのかな?」

座っていた人物、情報屋の折原臨也は立ち上がってそう言った。

ちょ……突っ込みどころが多すぎるんだけど。
何故僕の部屋に?
入れた覚えがないんだけど。
どうやって入ったの?
さっき鍵開けて部屋の中に入ったよね?
つーか、もうこれ不法侵入じゃないのかなぁ。
夕方だよね?臨也さん、仕事は?
とりあえず理由を聞いてみることにしよう。
本当は関わりたくはないんだけど。

帝人はぐるぐると考えを巡らせた。

「なんで臨也さんがここにいるんですか」
「俺の質問にはスルーなんだ。まぁいいや。答えは簡単、君に会いたかったからさ」
「そうですか、出口はこちらですよ」
「ヒドッ!! 太郎さんはツンデレですね!」
「キモイので死んでくれません?」
「それは本当にヒドイ!! こんな俺でも傷つくんだよ?」
「そうだったんですか、初めて知りました」

という半分は本気の会話をしながら、荷物を置いた。
つーか、もう早く帰って欲しい。
そう思いながらも生真面目に答える帝人。

「どうやって部屋の中に入ったんですか」
「それはもちろん、これで入ったんだよ」

臨也が取り出したのは合鍵だった。
帝人はあきれた顔をした。

「なんで持ってるんですか」
「俺は情報屋だからねぇ」

とんだ情報屋だ。
あの合鍵を早いとこ回収しないと、これからも部屋に入られる可能性がある。
しかし、一筋縄ではいかないだろう。

「返してくれないと警察呼びますよ」
「警察ごときが俺を捕まえられるとでも?」

ドヤ顔でくつろぐ臨也。
めんどくさいストーカーだと帝人は溜息をついた。
それなら、最終手段を使うしかあるまい。
帝人は携帯を取り出し、ある人の着信番号にかけた。

「無駄だよ、警察を呼んでも」
「えぇ、無駄なのは分かっていますよ。だから……」
「?」


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