帝人受け

□運命の赤い糸
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学校の帰り道、園原さんは用事があるらしいので僕と正臣で帰っていた。

「帝人は“運命”という言葉を信じるか?」
「えっ、運命?」

いきなりの質問につい聞き返してしまった。

「そう運命! それはこんな広い世界で俺と帝人が出会ったこと、池袋にいて同じ高校に通っていて、今一緒に帰っていることも運命!
 二人は運命の赤い糸で結ばれている……」

運命の赤い糸か……。
正臣は本気で言ってるのかたまに分からない時がある。
例えば僕が隣にいても園原さんに愛してるって言うし、すぐナンパには行くし……。
だから、ちょっとムスっとして言い返してしまった。

「そういうのは女の子に言ってあげた方がいいと思うよ? 喜んでくれると思うし」
「だから言ってるのに、帝人は喜ばないのか?」
「へっ、僕は男だよ?」
「大丈夫!! 帝人は世界中の美少女より可愛いし愛してるから、赤い糸は誰かに邪魔されても切れない!!」

大袈裟な身ぶりで示された。
だんだん顔が赤くなっていくのがわかる。
僕は正臣が見る女の子よりも愛されてるってことだよね。
可愛いかどうかはおいといて。

「喜んでくれた?」
「……うん」

彼は僕の顔を見て微笑んでくれた。
そして、足早に歩道橋の階段を登っていく。
僕は立ち止まり、夕日に溶け込む彼のうしろ姿を見た。
その背中は大きくてカッコよかった。
そうだ。そうだった。
カッコイイ君に憧れてこの街へ来たんだ。
だから……。

「運命の赤い糸、か……。信じてもいいかな」

独り言をつぶやいた。
そして僕を呼ぶ正臣に走って追いかけた。


(帝人、今からデートするぞ!)
(えー、デートって夜じゃ危なくない? 不良とかもいそうだし……)
(大丈夫! その時は俺が何とかする!)
(頼もしいね)


-END-

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