帝人受け

□特別な場所
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駅前の、カップルで人気なカフェに来良の制服を着た気の弱そうな少年が一人でいた。
その少年、竜ヶ峰帝人はある人物と待ち合わせをしていた。
しかし、待ち合わせの時間になってもあの人は来ていない。
(時間や約束事は必ず守る人なのに……)
新しく来店した二人組みの若い女性達が小声でしゃべっていた。

「またそこの大通りで、平和島静雄と折原臨也が喧嘩してるんだってぇ」
「マヂ? 巻き込まれたくないよねー」

(また喧嘩……)

これで合点。どうやらあの人は、ここに来る途中で、平和島静雄に見つかってしまったようだ。
帝人は遠い目をして、窓の外を眺めていた。
暫くして、カランコロンとドアの開く音がし、青年が焦って待ち合わせの席に座った。

「臨也さん」
「お待たせ、帝人君。何週間ぶりだろうね?」

帝人を見るなり、笑顔を見せる。
その青年は黒い服に包まれていて、明らかに周囲より目立った。

「また見つかったんですか?」
「まったく、あの化け物は……振り切るのに時間がかかったよ。まだあのこと根に持っているのかねぇ」

あのこと、という言葉にチクリと胸が痛んだ。

「ブラックコーヒー、一つ」
「かしこまりました」

帝人は冷めたコーヒーを一口喉に流し込み、たずねた。

「臨也さんって、静雄さんと一緒の高校だったんですか?」
「新羅もドタチンもシズちゃんも一緒だった」
「そう、ですか」

やっと落ち着いたと思った矢先、臨也の携帯電話が鳴った。

「悪いね、帝人君。チッ、今度は電源切っておくか」
「構いませんよ」

臨也は電話に出るために席を立った。
その直後、帝人は思い立ったように店員さんに言った。

「あのすいません。さっきの――」
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