帝人受け

□帝人君と愉快な変人達
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※正臣と青葉が物凄く不憫です。


三色の旗が烽火を揚げた抗争から早一年が経とうとしていた。
昔のことのように感じられるが、然程遠い出来事ではない。
今だ帰って来ない幼馴染。何かを企む後輩。謎の美少女。
そして勢力が拡大したダラーズ。
帝人の行方は――。
今再び、黒い影が立ちはだかる。

「みっかどー!!」
「正臣? どうしたの。戻ってきて」
「先輩、誰ですかこいつ」

「何それ!? びっくりだよ! 折角、格好良い雰囲気醸し出して久しぶりに登場してきたのにクールな反応!!
 夏なのに凍っちゃうよ!! クールなだけにッ」
「?」
「うん。正臣の方が寒いよ」

「暑い熱いよ、二人とも!! 近すぎ!」
「ああ! 先輩と引き離さないでくださいよ!」
(正臣…スルー耐久ついてきてる…)

「俺の場所取りやがって。帝人の隣は俺のものって決まってるんだぞ。
 帝人の将来の隣も俺だけ!」
「意味不明です」


「こんな素敵な街に童顔が二人って、ナンパしても痛い目見るだけだぞ。
 紀田正臣師匠がお手本を見せてやる」
「玉砕覚悟で話しかければいいんでしょ?」
「可能性あるよっ」
「帝人先輩。こんな奴に構ってないで行きましょう」

「帝人! 俺といた方がベターだぞ! 幼馴染だけに!
 あ、今のベター突然帰ってきた幼馴染は絶対主人公と結ばれるっているベタな展開とかけたの分かった?」
 
「√3点、自分で説明するのも寒い」
「そういう冷たい帝人も大好きだ!!」
「気持ち悪い」
「紀田先輩って変態ですね」
「そういう君も大概だよ。手を離しなさい」
「ずるっ! 後輩のくせに帝人に触れるなんて!」

「ひゃ」
「帝人……お前また痩せたんじゃね?」
「腰に抱きつかないでよッ」
「ずるい!」

「ちょ、なに懐から取り出して…って何その隠し技!! 俺が居ない間に何があった!?
 ボールペン突き立てるってもろ痛いだろ……」


「ふふふ、甘いですね。紀田先輩」
「うおっ、なんだよ。その気色悪い笑みは」
「帝人先輩のボールペンは照れ隠し、つまりは愛ですよ。僕は帝人先輩の愛を受け取りましたけど」

グサッという鈍い音がした。
青葉が喋っている間に帝人はボールペンを刺していた。

「誇らしげに自慢してるけど、自分大変な目に合ってるぞ」

すかさず、正臣がそのことについて触れるが、青葉の口は止まらない。

「刺された時は痛かったけど、その時の先輩の俺を見下ろす目を見てると、興奮するんですよ。
 帝人先輩が俺だけを見ているって。思ちゃって……うっ」

依然として帝人は微笑みを浮かばせたままだが、また刺したようだ。

「おい。力説している間に刺されてるぞ。うっって言ってたよな? 言ったよな?」

「刺されると胸の鼓動が早くなって、ゾクゾクと背筋が凍って、快感なんです」

本日3回目の青葉が言うところの愛が刺さった。

「そりゃ、出血してたらな。循環悪くなってるからだろ。快感じゃないだろ、自身危機を感じてんじゃね?」
「ボールペンが手を貫通して、血が流れるとなんか帝人先輩と繋がっている気がするんです!」
「いや、共感できないし。つーか、理解不能」

「その後の帝人先輩の看病も好きです。包帯と消毒液持って、大丈夫だった? って優しい声で言ってくれるんですよ。
 ツンデレは殺人的ですよー。それから……」

「青葉君……?」
「何ですか!? 先輩!!」
「それ以上口を開いたら……」

ボールペンを上に掲げてすごんでみるも、青葉には逆効果だった。

「貫通ですか!? 喜んで!!」
「口を開かないでって言ったでしょう? 正臣はこんな変態じゃないよね?」


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