短編集
□池袋でデート
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(ハニーは可愛すぎるから、ほかの男達に付け狙われるかもしれねぇ!!クソッ…)
千影の予感は的中してしまった。
チンピラの間から見えたのは、胸倉を掴まれて、抵抗できないでいた帝人の姿だった。
怒りに燃えて、そいつ等の後ろにまわりこんだ。
そして、あっという間に5〜6人を寝かしつけた。
「千影さん!?」
帝人が千影の姿をみると、驚きと安堵の表情を見せた。
「ハニー!! 怪我はなかったかい?」
千影が帝人をしっかりと抱き寄せた。
あたふたと顔を真っ赤にさせる。
その姿に愛しく思い更に強く抱き締めた。
千影の胸にうずめられた帝人はやっとの思いで引き離した。
「ちょ、ち、千影さん!」
いいムードに入りかけていたところ、とんだ邪魔が入った。
「何がハニーだッ…!!」
ついさっき寝かしつけたチンピラの一人が起き上がって、怒りに燃えている。
その手には、果物ナイフが握られていた。
千影は、帝人を守る形でチンピラに向き直った。
怒りに満ちた表情で、首を鳴らす。
帝人は、一歩後ずさって心配そうに千影の背中を見つめた。
少し格好良いと思ったことは、本人には内緒だ。
「俺のハニーに、汚ねぇ手で触んじゃねェ」
「うっせー!! キメェんだよ!!」
チンピラは、つい先ほど負けたというのに威勢を張って飛び込む。
千影は、突き出してきたナイフを容易く払いのけ、重い蹴りをはなつ。
ドサッと、再び地面に沈み込んだ。