短編集

□三角関係@
1ページ/1ページ


「ねーねー波江さんはさぁ、三角関係ってどんなだと思う?」

雇い主、折原臨也は仕事机越しに私に聞く。
コーヒーを入れたマグカップを彼に手渡し、自分のコーヒーを飲みながら答えた。

「三角関係、ねぇ。男二人が女一人をかけて、とかじゃないかしら?」
「だよねぇ。でも、俺はこう思うな」

紙にペンでさらさらと三角関係の図案に人物名を書き込んでいる。

紀田正臣→竜ヶ峰帝人→園原杏里→紀田正臣

「何これ」
「あの三人だよ。園原杏里……罪歌に愛があるのかどうかだけど、ね」
「黄巾族の坊やには愛がある、ねぇ」
「本当の三角関係ってこういうものじゃないかな。女一人が男二人のうちどちからかを好きになると、三角関係じゃないでしょー?」
「まぁ、そうね」

そう言って、園原杏里から竜ヶ峰帝人に矢印を引っ張って、紀田正臣を線で消す。

「もしも、二人以外のほかの誰かだったら、これはもう三角関係じゃない」

もう一人適当な人物をつくり園原杏里から矢印を引っ張り、あとの二人を線で消す。
臨也はペンを後ろに投げ捨て、腕を広げ椅子ごとくるくる回りながら言った。

「歪な関係は保つことが出来ないだろうね。さぁて、どんな修羅場になるのかなぁ」
「あなた、本当に歪んでるわね」

率直な感想を言っただけ。
人の恋路の邪魔をする奴はそのうち馬に蹴られるわよ。
まぁ、こいつに言っても効果なさそうだけど。


-END-
「恋のキューピッド、甘楽ちゃん登場☆」
「あなた、本当にウザイわよ」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ