短編集

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『イケブクロ@DEEP』



「チーム結成だよ! 俺らの!」
「チーム!? って、カラーギャングのこと?」

黄色い布の集団を思い浮かべると怖くなった。

「ちげーよ。このチーム、さっき思いついたんだ!」

正臣は一瞬複雑そうな顔をした。
またビビリの腰抜けだと思われたんだ。はぁ。

このタオル、さっき売店で買ったんだぜーなんて言ってる。
行動力凄いよね、正臣は。

「あの小説知ってッか? アキハバラ@DEEPって」

昔のままの輝かせた目で話を進ませる。
ワクワクしながら二人で身を乗り出して聞き入った。
アキハバラあっと……あっ、それなら何年か前に読んだことがある!
園原さんも、私もありますと答えていた。
その小説の登場人物に少し憧れてたなぁ。
で、それとなんの関係があるの……?
と、問いかけると正臣が
なんでお前には分からないんだー。
今俺は素晴らしい事をしようとしてんだぞ。

「いいから早く続けて」
「本当に気づかねーのか? その小説、秋葉原でチーム組んでただろ?」

うん、そうだね。題名が会社のチーム名だから、ってことは……。
正臣の言いたい事が分かったような。
でも園原さんに先を越された。

「現実でそのチームを結成するっていうことですか?」
「さすが杏里! 鈍感な帝人とは大違いだな!!」

大当たりーと正臣がパチンと指で鳴らした。
鈍感じゃないよ、少し気づくのが遅かっただけ。
と言うと正臣に、お前ほど鈍感な奴いないんじゃねぇの?
って言われた。
園原さんも隣でコクンと力強く頷かれた。
ねぇ? 泣いてもいい?
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