friend -フレンド-


□(白梅 雪子side)
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「ぁ、」

「っ!!」



林檎を掴もうとした私の手に、彼の手が重なった。

それだけなのに、体がびくりと跳ね上がる。

体温はぐんと上がり、心臓は彼に聞こえそうな程五月蠅く鳴り響く。

私と彼、二人しか居ない路地。

良く見ると、彼はとても可愛……
というか、整った顔をしている

これが世の中で言う、"男の娘"…なのだろうか

……って、
そうじゃなくて…



「ぁ、あの……、手……が、」

「え?ぁ、あぁ、ごめんね。…はい、最後の一個」



彼は素早く手を離し、林檎を手渡してくれた。



「ありがとうございます」



私は照れながらも小さく微笑んでみた。

彼もやはりにこりと微笑み返す

お互いに立ち上がり、小さく砂を払う

すると、彼の着ている制服に気がついた



「…ん?」

「、?どうしたの??」

「……もしかして、貴方ってここの近くの『賢永史(カタトシ)高校』の生徒ですか??」

「うん、知ってるんですか?俺は2年生ですよ」

「そ、そうですか!なら…、」



私は言いかけて思わず口を閉じた。

頬がまだ熱い。

賢永史高校…



「じゃあ、さっきはありがとうございました!」

「あぁ、」



私は思わず笑顔になりながら彼に背を向けて歩き出した

明日の私の転校先、賢永史高校だったよね、

間違いないよね!

心の中が一気に明るくなる。

あの人と同じ高校…

それに二年生って事は私と同学年!

自分でもよく分からないけど、凄くわくわくしてる―…

なんか明日が楽しみだな!
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