friend -フレンド-


□(白梅 雪子side)
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「きゃっ」



……馬鹿だな私。

また転んじゃった…

よく見ると周りには先程スーパーで買った物が散乱していた。

私は一つ溜め息を吐き、それを拾い始めた。

見慣れない町での一人暮らし。

それがどれだけ孤独で大変か、今まで知らなかった。

高校も変わり、学費はバイト代で稼ぎ、家事はもちろん、勉強をやる時間も必要。

だからといって、頼る人も居ない。

独りが、寂しい。



「大丈夫ですか?」

「ぇっ…」



顔を上げると、黒髪の男の人が私の事を心配そうに見ていた。



「す、すみません!今すぐ道開けますんで…っ」



私は拾うスピードを上げ、彼に迷惑がかからないようにした。

するとくすりと彼は笑い、私の向かいにしゃがみ込んだ。



「手伝いますよ」

「ぃ、良いですっ!ご迷惑でしょう!」

「大丈夫ですよ、これくらい」



目が合った瞬間、微かににこりと笑った。

どうしよう、なんかすごく照れる…

私は少しずれた眼鏡を掛け直した。

癖だ。
照れると、いつも眼鏡を弄ってしまう

頬も少し熱い。

彼に目を向けると、やわらかい笑顔をほんのり浮かべながら、落ちた林檎を拾っている。

―優しい。

先程までのブルーな気持ちが和らいでいく。

その優しさが、胸にジーンと、深く深く染みた。
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