friend -フレンド-
□白い君
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「送ってくれてありがとね!」
「あぁ、ちゃんと宿題やれよ?」
「そっちこそ!」
そう言い、夕日に照らされながら笑い合った。
「じゃあ、また明日!」
「じゃあな」
バタン―
閉ざされた扉が少し寂しい。
まだ話していたかった。
そんな心情を押し殺し、明日またたくさん喋れば良いだろうと
夕日に染まる路地をまた歩き出した。
「きゃっ…」
微かに、少し遠くから小さな悲鳴と何か重い物が落ちたようなこごもった音が聞こえた。
そちらに走り寄ると、座り込んでいる少女がいた。
周りには買い物袋や、
袋から落ちてしまったのだろう、林檎や葱、丸っこい野菜等が転がっている。
それをせっせっと焦りながら集めている少女。
「大丈夫ですか?」
「す、すみません…今すぐ道空けますんで…っ」
小さな少女と目が合った。
瞬間に、くすりと笑ってしまい自身もしゃがみ込んだ。
「手伝いますよ」
「ぃ、いいです!ご迷惑でしょう!」
「大丈夫ですよ、これくらい」
また少女と目が合った。
俺がニコッと笑いかけると、彼女は頬をほんのり赤に染めながら眼鏡をかけ直していた。