殺つり人形

□疑劇
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「おーい、船の準備が出来たぞ〜」

先程いた老人がやってきて声をかける。

「じいさん!一人増えたけど良いか?」

「もちろん、良いとも!」

『よろしくお願いします。』

丁寧に頭を下げて礼を言う。

そして、ノアを含めたマクモ達は老人の後について船に向かった。

「これが、わしの船。「トビウオ1号」じゃ!!」

老人が船の前で誇らしげに言った。

その船はお世辞にもキレイで新しいとは思えなかった。


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船が出港して沖に出て数分。

早くも船底から海水がマグマのごとく溢れだした。

いわゆる、浸水だ。

「まただ!!」

出港してから3回目の浸水だ」。

「ど、どうしましょう!!」

1回目、2回目の浸水はエニメニが居て応急処置をしていたが今、この場には居ない。

『困りましたね。
エニメニさんは、ちょうどおじいさんに航海の調子を聞きに行ってますし・・・』

ノアは全然困っていないように、苦笑して言うまで余裕のある。

とりあえずマクモが板で穴を塞ぎ、フェイがバケツに流れ込んできた海水を汲んだ。

「ノア、エニメニを呼んできてくれ!!」

『分かりました。』

ノアがエニメニがいるであろう船室へ向かおうとした。

その時、階段を上った所にある船室からちょうどエニメニがやってきた。

『あ、エニメニさん。
ちょうど今呼びに行こうとしたところです。』

「航海のことね、航海は順調だって。
あと2時間くらいでアークエンドに・・・」

エニメニの言葉を遮ってマクモが叫ぶ。

「エ・・・エニメニっ!!!
早く来てくれ!!また浸水だ!!」

「キャア〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

エニメニは叫び声をあげてマクモが押さえて板を奪い取ると船の応急処置をし始めた。


エニメニが船の応急処置を始めて、数分後。

エニメニの全力の応急処置の結果かそれとも天選の力のお陰か、それとも両方のお陰か船の浸水は治まっていた。

「なんとか、治まったわ・・・」

「あのじいさん、こんなボロ船しか持ってなかったのかよ!?」

荒い呼吸を落ち着けようとしながら言った。

『良いじゃないですか、乗せてくれるだけでも。』

涼しい顔で言うのはノア。

「でも・・・アークエンドに着く前に沈まなければいいんですが・・・」

フェイがバケツに溜まった海水を見つめて言った。

「やめてくれよ!!
シャレになんねーよ」

するとそこで、エニメニが船に連れ込んでいた変な水玉模様の服(?)を着た犬(?)がぽつりと自分の足を見て言った。

「オレ・・・犬かきできるかな」

『Σ!!!?』

「大丈夫!!全力で応急処置しといたから。」

ノアの動揺をよそにマクモ達はごく普通に犬(?)が喋ったのを受け入れていた。


これは、俺が悪いのか?
いつから、犬がごく普通に人の言葉を話すようになった?
それとも、俺が知らなかっただけなのか?
犬が喋るのは世間一般では普通なのか?常識なのか?
それとも、カバネの左目の副作用のせいで俺の頭がおかしくなったのか?


一人でノアが、パニック状態になる。

『頭、痛い・・・』

パニックで敬語も抜けて、頭を抱えてしまう。

「ノア?どうかしたか?」

「どうしたんですか?」

「どうしたの?」

頭を抱えてしまったノアに3人は同時に言った。

『あの・・・・犬って喋るんですか・・・?』

「「「「・・・・・・・・・あ」」」」

犬(もう、めんどくさいから固定。)も含めてノアを見て唖然と呟いた。

「そういや、ゴンのことノアに話すの忘れてた・・・」

マクモがノアと別れた後の事を語った。
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