殺つり人形

□罠劇
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5体の人形をノアは引き連れて歩く。

そして、角をまがった所でばったりと。

『・・・あ・・・・・(何か前もあったなこの展開。)』

ノアがデジャヴュを感じている間に出会ってしまった人物は後ろの人形を目撃して、動揺で目を見張っている。

「ッ、コレは!!?」

いつの日かと同じような出会いをしたアースが5体の人形の内自分と同じ顔をした人形に釘付けになる。

瞬間的に頭をフル回転させてノアは次の行動をおこす。

ベルトに差していたカタナを素早く鞘ごと抜いて、抜いた勢いのままアースの頭に振りかぶる。

ガツンと鈍い音が廊下に響いてはすぐに消えて行った。

『・・・・・・さすが、裏切っても4天死。』

アースは、咄嗟に作った自在槍でノアが振りかぶったカタナを受け止めていた。

「お前に褒められても嬉しくないがなッ!」

言うのと同時にアースがノアのカタナを自在槍に力を込めて押し返す。

ノアは押し返される力に逆らわずに自分から後ろに跳躍してアースと距離を取る。

そして、ノアはアースに向けて天手の糸を伸ばす。

「お前が、操り糸を使う事は分かっている!!」

アースが自在槍を振り、糸を防ぐ。

「お前の糸は鋭く、何でも切り裂くが防ぐ方法もある。
その一つがオレの天選で強度を最高まで高めたこの自在槍だ!!」

『・・・・・・そんな事、予想済みだよ。』

ノアがわざとアースに弾かせた糸がアースを通り過ぎてアースの背後の左右の壁を切り崩した。

『自分の攻撃を防がれると予想して対処を考えとくなんて当たり前。
・・・少し残念だったのが天選としての格が違えばいくら強化したって・・・』

背後で崩れた壁に気を取られたアースへ走る。

ノアが懐に入るのに気付いたアースが咄嗟に自在槍を振るう。

自在槍が頬を掠るがノアは速度を緩めない。

『無駄だってことに気付かなかった事かな。』

ノアの頬を掠った自在槍が一瞬のうちに切り裂かれる。

そして、まだ手にしたままだった鞘に収まったカタナでアースの頭を素早く殴りつけた。

今度こそアースは鈍い音をたてて倒れた。

『・・・・・・・ふぅ。
せめて左腕が自分の腕なら俺に勝てたかもしれないけど、違うんだからそこも計算しなよ。
バカだなぁ・・・・・』

気絶したアースを見下ろしてノアは呆れたように言った。

『・・・俺が殺そうとしてなかった事ぐらいは気付けよ?』

そういうとノアは、アースの片足を引っ張って元来た道を戻り始めた。

「蜘蛛の間」に着く頃にはアースの頭皮がすごい事になっているだろう。

操り糸でアースの体を操って歩かせることが出来るが、このおバカさんに天選を使っている余裕はない。
これからが、本番なのだから。
だから、目が覚めた後でせいぜい苦しめばいいと思う。

『・・・・そういえば、部屋に死体袋ってまだ有ったっけ?』

ノアは、アースの頭がしきりに床にぶつかるのに構わず歩き続けた。
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