殺つり人形

□心劇
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『住』の国 シェルト・・・・・・・の手前。切り立った崖にジェノスのメンバーは居た。

シェルトの中心に建つ”バベルの塔”。

「ふーん。あれが”バベルの塔”かぁ」

「明日はこのアリ地獄の中で殺し放題ってわけだな!!」

「待ちきれないねー」

ノアをはさんで立っている双子のうち片方・・・ブランが話しかける。

『・・・そうだな。』

軽く笑って言ってやった。

「こんな小国を潰すのに12人も要るかしら?」

「コーム!!口を慎め!!」

リュウが黙ってバベルの塔を見つめるクオリを見て言う。

「ここは姉御の生まれ故郷だ。」

クオリは無視していたが、俺に聞こえたのできっとクオリにも聞こえていたのであろうがあえて無視していた。

『・・・あー、えっと。みんな、ちゅーもく!』

なんか気まずい空気が微妙な空気になったけどけど気にしない。
あえて気にしない。

「「なーに?/何だ?」」

左右で双子が聞く。
大人組は聞いてこないけど、こちらを見ている。

『えー、今までジェノスに入っていて今この場にいるメンバーは信頼できると判断したため今回の作戦で俺の素顔を解禁したいと思う。』

カバネはちょっと怪しいけど、片目の状態で俺の害になるとは思えない。その他も同じく。


俺は、お面の金具を指で弾いて外す

俺の素顔を見た面々は、そんなに驚かなかった。ま、イルとシュガーみたいに戦ったわけじゃないからな。

「キャーーVv私の思ったとおり!イケメンじゃない!!」

ミストが奇声を上げる。

「カッコイイね」

「だな。」

左右で双子が俺をはさんで話している。

『そうか?』

「「うん」」

その他は、ノーコメント。
イルとシュガーもそんなに驚いてなかったし何も言わなかった。

『あと、今回の作戦で俺は偽名を使う。
OFFの時に、もしも生き残りがいてバレたら厄介だからな。
作戦中に、本名を口にした場合はその場で処刑。または、「蜘蛛の間」行きだから。』

「ねぇねぇ、なんて名前?」

ブランが聞いてきた。

『んー色々考えたけどこれにした。―――「ノエル」だ。』

「ふーん」

『そうゆーことで、口を滑らせないように。・・・・特にネット。』

ネットがビクッと体を震わせた。

「ねぇ、「ノエル」だって」

双子がまた俺をはさんで話す。
そんなに、俺をはさみたいかッ

「カッコイイねー」

「だな。」

「顔もカッコイイよねー」

「じゃ、もう決まってんだろ?ブラン。」

何が決まっただ。

「ノワールも決めたんでしょ?」

「当たり前だろ。」

「顔もカッコイイし、優しいし、僕らよりも強いし、決まってるよね。」

変な予感がする。

「ねぇ、ノエル」

さっそく偽名で読んできた。

『何だ?』

「僕らのお兄ちゃんになってよ!」

『ハァ!?』

「良いよね?良いんだね、やったーお兄ちゃんだー!」

おいおい、ちょっと待て!!

「「ノエルお兄ちゃん」じゃ、長いよね。」

もう決定事項らしい。

「じゃあ、ノエル兄(ニイ)は?」

「ノエルにぃ?いいね!」

ま、いっか。
懐かしいな「お兄ちゃん」だなんて。何年振りだろう?
・・・・・・・もう、俺の事を覚えている家族は居ない。


「・・・・どうかした?ノエル兄?」

『・・・・・どうもしない。』

双子と目線を合わせるため、しゃがんで言った。

「なんか、悲しそうな顔してたよ?」

『少し、昔のことを思い出しただけだよ。』

「大丈夫だよ。」

ブランが心配そうに小さな手で頭を撫でた。
俺を慰めてくれているらしい。
ノワールも照れていてこちらを見ないが、俺の服の端を握っていた。

『・・・ありがとうな。』

そう言って二人の頭を撫で、立ち上がる。

『テック!来てくれ。』

テックを呼んだらテックはすぐに来てくれた。
ブラン、ノワール、テックが俺の前に集まった。

『お前達はまだ子供だ。危険な目にあってほしくない。』

そう言って、「天選」の糸を3人に絡ませる。

『この、糸は俺とリンクしている。
お前達が怪我をすればその痛みが俺も感じる事が出来る。・・・お前達が今回の作戦で傷を負えば俺がすぐに駆けつけてやる。』

いつになく、真剣な俺に言うのを3人が不思議がる。

「どうしたんだよ?」

「ノアらしくないよ。」

「いつもこんな事しないじゃん」

『何か、嫌な予感がする。』


この予感が気のせいであればいいが・・・
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