モノクロガール
□第4夜
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「古代都市マテール」
今はもう無人化したこの町に亡霊が住んでいる―――
調査の発端は地元の農民が語る奇怪伝説だった。
亡霊はかつてのマテールの住人。
町を捨て、移住していった仲間を恨みその顔は恐ろしく醜やか。
孤独を癒すため、町に近づいた子供を引きずり込むと云う。
「あの、ちょっと一つ分かんないことがあるんですけど・・・」
「それより今は汽車だ!!」
『ほらほら、ユウ急いで。』
「お前ッ〜〜!」
僕?
僕は走ってないよ。
僕が走るわけないじゃん。
僕に屋根の上を走って移動するなんて人間離れしたこと出来るわけ無いじゃん。
(↑でも、やればできる子。ただやるのが面倒なだけ。)
「ナギサ、そこで何読んでるんですか?」
「そこ」はつまり、ユウの腕の中。
いつも、ユウに横抱きにされて移動していたりする。
・・・・・・・えーと、なんて言うんだっけ?
前、リナリーに押し付けられて読んだラブストーリーに出てきたアレ。
・・・・・そう!お姫様だっこという奴。
あの本によれば、お姫様だっこをされている女性は、「こいにおちる」になるらしい。
僕は、一応生物学的には女だが落ちたりしない。そもそも、ユウが僕を落すわけないじゃないか。
・・・・やっぱり、ラブストーリーの内容は当てにならない。