七転抜刀

□第一話
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三十分が経過。



どなたもいらっしゃらない。


俺は頭を抱えて無言でうなる。


……………ヤバいな、孤独死しそう。寂しすぎて死にそう。




皆、知ってるかい?人間っていうのは寂し過ぎると死んじゃうんだよ…。



ちょっと歩き回ってみるか?いやいやいや、そんなことして危険な目にあったなんて、笑い話にもなんないぞ。



と、俺が悩むこと五分が経過したその時、




「おい、どうした?」




背後から、鈴を転がしたような声が聞こえた。


男か女か分からない声だ。つまり、中性的な声。



俺が慌てて振り返るとそこには、白い髪の女性がいた。



え、何で白!?染めてんの?



白く長い髪を後頭部で一つにまとめて、ポニーテールにしている。



そして、黄色っぽいくるくるした目がこちらをじっと見つめていた。



顔はモデル並みに子顔で、はっきり言うとすごいかわいい。白い髪を除けば、一瞬芸能人かと誤解するかもしれない。
歳は二十代と言ったところだ。


全体的に細くて、ものすごく痩せている訳でもないけど、か弱そうなイメージだ。そして、何故か白っぽい着物を着ている。



え、何で着物?(ちなみに男物)




髪も肌も着物も白いので、一瞬目の前の人物が人間じゃないかと思ったくらいだ。



いや、マジで天使かと思った。



俺が呆然としていると、天使がこてん、と首を傾げて尋ねてきた。



「迷子か?」

「いや、迷子じゃな…、いのかな?」



どうも説明しにくい俺は、つい疑問系になる。


でも気付いたらここにいたし…、迷子ではないよな…。とにかくここがどこなのか聞かなくては。



ふと天使の方を見ると、子供みたいにニコニコしながら俺を見つめていた。



目の前の天使は、どうやら俺が答えを出すのを待っていてくれたらしい。



俺はもっともな台詞を言うために口を開いた。



「ここって…何処ですか?」

「え、どこって…日本?」



俺の質問に目の前の女の人は表情を変えずにさらりと言う。


………………………。



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