駄文・二次創作
□先輩の選択(未来は空白)
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俺はなんてことをしてしまったんだろう。
何度同じことを自問自答したのかわからなかった。
俺がセンパイを好きだという気持ちを抑え込んでいれば。
少なくとも、今までの先輩後輩の関係のままでいられたのに。
それで、今よりもっと仲良くなれたかもしれないのに。
昨日センパイを押し倒してから、いや、柳生センパイに嘘をついたときから、すでに。
センパイとの関係は壊れた。
俺が、壊した。
今までの関係ではいられない。
もしかしたら、俺と同じ部活に居づらくなって、センパイはテニス部を辞めてしまうかもしれない。
俺のせいで。
大好きな、テニスを。
ああ。
何で。
何であのとき、我慢できなかったんだろう。
俺のバカ。
ぐるぐると、同じ言葉が頭の中で繰り返される。
でも、それでも。
あんなに酷いことをやっておきながら、それでも柳生センパイに嫌われたくないという身勝手な思いも、俺の中にあった。
テニス部の朝練中、俺はいつも通りの時間に来た柳生センパイと、一度も目を合わせなかった。
ちらりと見た柳生センパイはいつもと変わらない様子で、平然と練習してたけど、俺のほうはミスばかりで、ボロボロだった。
放課後の部活の後、センパイから言われた「話があるので、今日、残ってくれませんか」という言葉は、俺にとって死刑宣告みたいなものだった。
「―――時間を下さい」とか言ってたのに。
何でそんなに早く来るんだよ!
本当は逃げたかった。
どうせ、断られるんだから。
でも、柳生センパイがもう答えを用意してるんだったら、俺がどう逃げても、結果は変わらない。
いっそのこと、すっぱりと振られたほうが、あきらめもつくかもしれない。
そう思って、俺は柳生センパイの返事を聞くことにした。