駄文・二次創作

□Let´s☆入れ替わり
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「俺たち、顔立ちとかよく似とるじゃろ」
「そう…ですか?」
「赤也がこの前騒いどったじゃろ。柳生がメガネ外したとき」
「…ああ…そういえば」

後輩の赤也が、メガネ無しの柳生の顔が見たいとゴネたので、仕方なく柳生が眼鏡を取ってみせた時の話だ。

「そんな事を言っていましたね」
「それで思いついたんじゃが、次の試合、俺たちが入れ替わるってのはどうじゃ?」
「……は?」
一拍おいて、柳生が惚けたような声を出した。
気にせず続ける。
「俺たち、背も同じくらいやし、体つきも似とるじゃろ? この身体的特徴を活かさない手はないと思うんよ」

 分厚い眼鏡に阻まれて確認は出来ないが、おそらく今の柳生の目は点になっていることだろう。
 俺だって、入れ替わりなんていうメチャクチャな作戦が成功するとも、ましてそれを柳生が承諾するとも思ってない。

最初に突拍子もない作戦を言い、相手が渋ると少し譲歩したフリをして、最初よりはまともな作戦を言う。
そうすれば、相手は嫌々ながらも最初の作戦よりはと承諾してくれる。
詐欺の初歩だ。

「オレが柳生のと同じメガネかけて、髪型もマネして、口調とかもマネるんよ。もちろん技とかゲーム中の癖もな。で、柳生も俺のマネをする。相手がオレ達とのプレーに慣れてきよったら、正体をバラす。…どうじゃ? 相手は混乱するじゃろ」
俺は、目を輝かせて柳生に力説する。フリをする。
実際はこんなの不可能だろう。
俺は左利き、柳生は右利きだし、履き慣れない他人の靴やラケットで、前衛と後衛が入れ替わって試合をするなんて、互いにかなりの負担を強いられる。
常識ある柳生は断固拒否するだろう。
そしてその後、俺が本当の作戦を言ったら、きっと柳生は首を縦に振る。

全く、何て扱い易いんだ、この紳士様は。
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