駄文・二次創作

□襲撃 sideABC
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太陽がまだ姿を見せていない、朝早く。この時間帯はほとんどの店が開店しておらず、夜の騒がしさは完全にナリを潜めている。
それは、立海組が運営するカジノ、『確乎不抜』でも同じで、夜は娯楽とスリルを求めるギャンブラー達でにぎやかな店内も、今は閑散としている。
店内の中央を彩る豪奢なシャンデリアにも明かりが点されておらず、業務用の電灯がちらほらとついているのみだ。
スロットなどの機械類の電源も切られているので騒がしい電子音もせず、店内は非常に静かだ。
静かな空間に、人の声が響いた。

…正確には、あくび声だったが。



「おい赤也、しゃきっとしろよ。仕事中だぜ」
ポーカー台に突っ伏してあくびをする後輩に向かって、ブン太が注意する。
「…いいじゃないスかー。仕事ったって幸村さんに売り上げ渡すだけっしょ? 若頭に会う時はちゃんとしますから。今日オレ早起きして眠いんすよー」
ふああ、と再びあくびをする赤也。
「…大体、それを言うなら仕事中にガム噛んでる方がどうかと思うっすよ?」
ブン太が膨らませているガムを見ながら、赤也が言う。
「これはいいんだよ。オレのエネルギー源なんだからな」
赤也と同じくポーカー台に座りながら、口にしたガムを大きくしたり小さくしたりを繰り返しているブン太。
閑散としたカジノ内にいる人物は、ブン太、赤也と、もう一人。
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