駄文・二次創作

□〜暑い国から来た殺し屋〜
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 深夜。
 裏の世界の一端を担う存在である、立海組。
 それの息がかかっている場所のひとつのある漁港。
 深夜だからか、それともヤクザの影がちらつくためか、普段は全く人気のない港に、今夜は二つの影が。
「で、今日来る殺し屋さんって外人でしょ?日本語通じるんすか?」
一人は少しちぢれ気味の黒髪が特徴的な男。
「俺もあんまよく知らねーんだけど、多分通じるんじゃねえの?」
  もう一人は髪を赤く染めていて、ガムを噛んだり膨らませたりしている。
  二人ともまだ若く、青年というより少年といったほうがしっくりくる年齢だ。
 彼らの服装にも大した共通点は見つからず、せいぜい二人とも動きやすそうな格好をしているというぐらいだ。
「多分‥‥‥って、もし通じなかったらどうするんすか?」
「さあ?」
 黒髪の少年の問いかけに対して、赤毛の少年は気楽に返事を返す。
「さあ、ってブン太先輩?今から会うのってボスが雇う殺し屋でしょ?言葉が通じなくってどうやって案内するんすか?」
 呆れ混じりの口調の黒髪の言葉に、赤毛はあくまでも気楽な調子を崩さずに言う。
「んー、まあ、ボスが俺たちを案内によこしたってことは、言葉通じんだろ」
「あ、そーっすね」
 その言葉に多少安心した様子を見せた黒髪は、名前を切原赤也という。 ガムを膨らませている赤毛の方は丸井ブン太。 二人とも、この港を含む地域を裏で取り仕切る地方ヤクザ、『立海組』の構成員だ。
新しく組に入る外国からの殺し屋が、今日船で来るというので、二人はその迎えに来たのだ。
その殺し屋は、遠距離狙撃専門の殺し屋で、各国を渡り歩く傭兵のようなことをやってきたらしい。
「お、あれじゃねえか?」
ブン太の指差す方向には、夜の闇に隠れるようにかすかな光が見えた。




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