駄文・二次創作

□ラッキーボーイ登場
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スラム街の一角に、人目を避けるようにひっそりと存在している薄汚れた事務所。
光源は弱々しい光を放つ蛍光灯一本のみで、チカチカと目に悪そうな光に照らされる事務所内には、鋭い目付きの男達が何人もたむろしている。
男達はどこか浮き足立った様子で、何やら言い合っていた。

男達のうち一人、周囲の男達と比べると若干重苦しい雰囲気を持つ、リーダーらしき男が口を開いた。
「…港に行った奴らから連絡が入った」
ざわついていた周囲が静まり、男の言葉に注意が集まる。
「襲撃は失敗、重傷5名、他怪我人9名。死者はなし、奴らの被害は…なし」
イラついた男の言葉に、周囲は動揺を隠せないでいた。
「し、失敗…!?」
「奴らは、怪我一つ負ってないっていうのか!?」
「送ったのは、腕利きの奴ばかりだってのによ…」
「そういや、今そいつらどこにいるんだ!? 立海の奴らにラチられたりしてねーよな!?」
「…怪我人は、全員柳生医院の所にいるそうだ」
「柳生…ああ、あの人が良さそーな先生のところか」
「大丈夫なのかよ? そいつ、立海とつながってねーだろうな?」
リーダー格の男が答える。
「わからねーから、奴らには回復次第そこを出ろと言ってある」
そこで男は周囲をぐるりと見回し、
「…それより、これが俺らの仕業って事はアイツらに知れてるはずだ。もう俺たちは正式に立海組の敵だ」
と言った。
ヒイイ、と男達が情けない声をあげる。
「…ど、どうすんだよ。殺し屋はもうアイツらについちまったし…」
「不意打ちすりゃあ勝てるっつったの福士だろ?」
「黙れ!!」
福士、と呼ばれたリーダー格の男は、どよめく仲間を怒鳴りつけ、強制的に場を静めた。
「今さら、ンな事言ってもしょうがねえだろ! どうせ立海組は来るんだ! 今は、そいつらとどう戦うかを考える時だ!!」
「で、でもよ、アイツらはたった三人で俺らの中でも腕利きの奴らを倒したんだぜ? そんな奴らとどう戦うんだよ? もうこの街から逃げた方が…」
おずおずと、男達の一人が言う。
そこで、福士はニヤリ、と笑みを浮かべた。
「…大丈夫だ。あいつらは殺し屋を雇った。そうだろ」
「…あ、ああ」
「目には目を、殺し屋には殺し屋を、だ」
「えっ!?」
周りの男達の目が、驚きに見開かれる。
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