冗談!!

□任務。
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誰も居ない長い廊下を一人歩く。
右も左も同じような扉が続く。




ここは正十字騎士団ヴァチカン本部。
私の元・仕事場所。

本日づけで私は正十字騎士団日本支部に移動になる。

元正騎士である藤本神父が死んでからというものの
色々とあった日本支部だが、先日ついに真実が明るみになった。

サタンの落胤、奥村燐。
その存在を今は亡き藤本神父が
日本支部代表である、名誉騎士、メフィスト・フェレスと共に秘密裏に育てていたというものだ。

この事実は正十字騎士団に多くの混乱をもたらしたが、奥村燐の処分は保留となった。
その理由は奥村燐を騎士団の武器として育て
ここ何百年防戦一方だった悪魔との戦いに終止符をつけるという考えからだ。

これは悪魔から人間を守るための判断だ。

あたり前のようにあがってくる批判の声に騎士団上層部はそう答えた。
多くの声はそれで止み。
奥村燐には監視がつくことになり、事態は長期戦となった。


しかし、それで今回の事件は終わりでは無い、あと一つある。
日本支部代表、メフィスト・フェレスについてだ。

騎士団はメフィスト・フェレスの賭けに乗ることにしだのだが、
それにしたって、何も処分が無いはずがない。
メフィスト・フェレスには監視がつくことになった。

問題はそこだ。
少なくとも私の一番の問題はそこだ。

メフィスト・フェレスは馬鹿じゃない。
監視がつくなんてそうそう許可しない。

それも名誉騎士につくほどの監視だ、その辺の祓魔師では役に立たない。
上級祓魔師が必要になるが、大体の上級祓魔師はメフィスト・フェレスに顔を知られている。

長いこと上層部はそのことについて頭を悩ませていたが、ついにある決定がなされた。

メフィスト・フェレスとの話し合いによって監視ではなく、中二級祓魔師の秘書をつけることになったのだ。
もちろん、これは真実では無い。

実際に秘書としてつけらるのは、まだメフィスト・フェレスに顔を知られていない上一級祓魔師。

そして、選ばれたのは私。




しばらく歩き続けていると目的の扉にたどり着いた。
今まで通り過ぎてきた扉と同じような扉。
それに私は腰につけていた鍵の束から一つ取り出し、差し込んだ。

回す前に一呼吸。
これから始まる任務はとても難しい。
しかし、途中で投げ出す気などさらさら私にはない。

何時来るか分からない終わりまで

『…やりきってやる』

そう決意をし
ゆっくりと鍵を回した。



任務。
(これが貴方と私の始まり)



110501 soa

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