one's first love.
□NINE.
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「どこへ案内したものか…。」
店を出て少しばかり歩いたが、計画を立ててない以上、行くところがない。
それに、女性を案内したことなど、もっての他。
皆無であった。
「どこか、行きたいところはあるのか?」
そう言いながら横を振り向くと、さっきまで側にいた***がいない。
「!!」
一瞬焦ったが、落ち着いて辺りを見回すと幸い、今の時間帯は人通りが少なくなりすぐ見付けることができた。
彼女はすぐ側の出店を覗いていた。
街に休日になると、ちらほらと出ている簡単な店。
***はお金を払う仕草をして何かを受け取ると、トコトコと何事も無かったかのように戻ってきた。
手にソフトクリームを二つ握って…。
『さーなーだくん!!』
上機嫌に来た***は片方の手を真田へと差し出す。
「いいのか?」
『うん。もちろん』
一つ受け取り、口にする。
冷たく、思ったより甘い。
何ヶ月かぶりに食べた味は、とてもおいしかった。
久しぶりという訳だけではないかもしれんが…。
『ふふふ。』
「ん?どうした?」
『デートみたい…』
「ぶふぅっ!!」
口に含んでいた溶けたアイスを思いっきりふいてしまった。
『だ、大丈夫?』
「うむ。」
(な、なんとか…)
むせ返る中、まんざらでもなく思ってしまうのは、これもまた、修行が足りないせいか…。
そう思った。
「あ、汚ねー。なんか真田、ソフトクリーム噴いたぞ。」
双眼鏡を片手に丸井が毒づいた。
「しかし、なかなか様になってますね。」
柳生も双眼鏡を覗く。
「柳生よ、紳士でなくなっとるぞ。」
その言葉に固まってしまった柳生から双眼鏡を取り、仁王が覗く。
「納得いかんのう。」
そう、声を漏らした。
「ん?」
双眼鏡の先には…。
「あ、ソフトクリーム5つ。あ、ストロベリー2つと、チョコ一つ、バニラ一つとミックス一つで。」
丸井がいつの間にかさっきの店の前で買っていた。
「「「ブン太ーーーーーー!!!」」」
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