one's first love.
□THREE.
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道に迷いました。
正確にいえば学校の中で迷っている。
大きいし広すぎる。
学校だからと侮っていた。
理科室なんてすぐ見つかるなどと思っていた自分が甘かった。
『どうしよう。授業が始まっちゃうよ…』
前の学校でも何回か迷った事があった。
前置きはしますが、決して方向音痴などではありません。
ちょっと人より道が分からなくなるだけ。
それだけです
しかし***は当然焦っていた。
もう駄目かと立ち止まっている***の後ろから声がした。
「どうしたんだい?」
『え?』
振り返ると、優しそうな男の子が立っている。
見たことあるようで無いような…彼。
しかし第一印象は
(…カッコイイ人。)
だった。
『えっと…』
「覚えてないかな?###さん。」
初めて会ったカッコイイ彼は私の事を知っているようだった。
『???』
何故名前を知られているのかに***困惑したが、次の言葉で固まった。
「俺は幸村。君、転校初日に真田とぶつかっただろう?」
いきなり、苦手な人の名前を言われた。
真田君とは登校の時以来話してない。
クラスメイト。それだけの繋がりだから当然だろう。
前よりは怖くないけど、慣れそうで慣れない。
ぶつかった事を知ってるとなると…
『もしかして、大きなバッグの集団の中にいた人ですか?』
「正解♪正確に言えばテニスバッグだけど。」
楽しそうに笑う顔がまた引き付けられた。
(幸村君ってモテるだろうな)
なんて呑気な事を考えてる暇でもない状況。
(だけど、この人なら…)
『いきなりで悪いですけど…理科室につれてって下さい!!』