長編(ゾロ寄り)

□そのD
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迷子だ。










正確に言えばゾロが迷子だ。


全く…。
さぁ…どうする。
と言いつつ一人旅には慣れていたのだ。
焦る必要はない…と…思う…。




のに。





内心 焦っていた。またこのままゾロが居なくなりそうで。
また遠くへ行きそうで。
フラッと気まぐれで
その気まぐれが自分を惑わす。



ねぇ分かって。
時間が無いんだよ…
































『バカ…』

寂しい想いに心が迷う。
人混みに掻き消されて届かない言葉。








(そうだよ…自分の言葉はいつだって伝えたい相手に届かない)





















ユイはトボトボと歩いた。







泣きそうだった。







でも我慢した。

強くなったと思ったのに。
海を渡る力も精神もついたと思う。
でも使わない。使えない力もある。






無理に手に入れた偽りの強さなどいらない。今ならわかる

























回りを見渡せばカップルばかり
自分とゾロはどうみえていただろうか。



アイスなんか買うんじゃなかった。手を放すんじゃなかった。








嬉しかったのに。
素直になれなくて。


















『ゾロ〜』














それから2時間ほど街を歩いた。
一向に誰とも会わない。

辺りが茜色になりだして街灯がひとつ ふたつと灯りだす














(あー最悪?)
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