one's first love.
□EIGHT.
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「という提案なんだが…」
ノートを広げた柳が、鉛筆である言葉を何度もなぞった。
「どうだろうかな?」
「私は賛成です。」
「俺はちょっとなぁ…」
「反対じゃき。」
「俺も反対ッス!!」
「おいおい…」
そのノートのある1ページに[作戦]と書かれていた。
「こまったな」
シャーペンの芯をかちりと鳴らし、その何度もたどった二文字を見つめる。
「あの二人をこのままにしておくと、絶対ダメな気がするのは確かだけど…」
「いいじゃないッスか」
「つか、赤也、てめえは##MENE2##と真田がひっついて欲しくないだけだろうが」
いつもより大きくふくらませたガムを割って丸井は言った。
「おうおう言うのう、丸井、お主こそじゃろ?」
横目でちらりと見ながら仁王が小声で呟く。
「そう言う仁王先輩もじゃないッスか?」
始まったと言わんばかりにちっちゃな争いが行われていた。
幸村の溜息がもれる。
「けんかするなら俺たちだけで相談して決めるけど?」
あれやこれやと相談という名の討論会みたいなのが行われ、最後は幸村の一言で可決となった。
その相談は例の二人だけが知らない。
二人を見かねた柳が臨時で開いたものだった。
そういうと大体は想像がつく。
「で、決まったもののどうします?」
柳生が眼鏡を上げる。
その奥が少し笑っているようにも見えた。
[作戦]と書かれた文字の下がなにも埋まってなかった。
「すまんが、提案してみたものの、その辺りの知識は少ないのだ」
「俺も、そんなの経験ねぇーし。まあ、決めてやるよ。ジャッカルが。」
「俺かよ!!無理だろう」
「俺も…てか、虚しくないッスか?俺ら…」
「今さらじゃのう…」
ポンと赤也の肩を叩いた。
「じゃあ、俺が決めようか?」
幸村がニコリと笑う。
「まあ、妥当じゃのう」
「いいと思うぜ」
「うぃーす。」
「じゃあ、今日の部活の終わりに言うから、作戦は部活が休みの明後日決行する」
「「「「了解」」」」
そうして解散した。
(悪く思うなよ。弦一郎。このままではお前は気がつかない振りを続けるだろう?)
柳はまだ薄いノートを閉じた。
最初は見守ろうと思ったが、もう、見かねたとしか言いようがない。
気がつかないが、それを心のどこかでせき止めている。
出さないように。
気付かないように。
気がつかないように。
はたして弦一郎。
それが正しいだろうか?
絶対とも限らないだろう。
それに、
その気持ち、押し殺すには苦しすぎるだろう?
赤也たちは ああは言っているが、もし選択肢を迫られたら彼女の気持ちを最優先するだろう。
それとお前の気持ちを。
だから、
たまには、この柳蓮二。
友のために力を尽くそうじゃないか。
余計なお節介かもしれんが、見てもいられないのでな。
いつか書いた、真田の丸秘ノートに書きくわえていた。
[もはや、確率ではなくなった。]
[100%か0%の賭け。]