君とお揃いの晩夏
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「枯捺!? は、なんで遠坂と…………はあ!?」
「こ、こんばんは、衛宮くん」
場違いな気がして仕方ないよ……。
なんでこんな時にエージェントは霊体化したんだよ!
君とお揃いの晩夏 8
凛ちゃんがニヤニヤしてる。衛宮くんの前に正座してる私を見てニヤニヤ。あ、でも可愛いな、て思う私はマゾなのかもしれない。はあ、と衛宮くんがため息を零す。うう、机を挟んで座ってるのに、もっと遠くなりたいって思う!
「で、遠坂。なんでここに枯捺を連れてきた」
「あら、分からない?」
「は? 分からないだと……?」
衛宮くんが眉を寄せる。うう、と目線を逸らす。
……あれ?私は目を見張る。
極度の緊張状態だったから気付かなかったけど、凛ちゃんと向かい合わせの席(私から見たら左前)に、金髪美人さんがいた。優雅にお茶を飲んでいるが、なんだか空気は刺々しい。と、言うより警戒してる?
「……シロウ、」
「な、なんだよセイバーまで」
セイバー?
セイバーセイバーセイバーセイバーセイバーセイバー……。最近どっかで聞いた気が……。
「この子、マスターです」
「そうかそうか。って、はあ!?」
……あ、思い出した!
エージェントが言ってた、最有力候補!こんな可愛い人なんだ。……殺気は痛いけど。
「まさか、霊体してるのか」
「そのようです。……枯捺と申しましたね」
「うぇっ、と、は、はい!」
あああ、なんだか緊張する!
怖いし恥ずかしいし何だか穴に入りたい!セイバーさんは、じろりと私の背後を見る。
「貴方のサーヴァント。拝見させてもらっても?」
「は、はい。…………おーい、エージェント」
とりあえず名前を呼ぶと、観念したように現れる。が、セイバーを見て驚きの色を出す。
「……セイバー、」
「エージェント。なるほど、あなたでしたか」
セイバーさんはエージェントをじっくりと見つめていたが、やがて凛ちゃんの方へ向いた。エージェントは驚いたままセイバーさんを見ていた。……なんだかふかーい事情がありそうだ。
「リン、この子たちを何故連れてきたのですか?」
「同盟よ、同盟」
「はあ、同盟だ?」
凛ちゃんの言葉に衛宮くんが反応する。何、私会話に入れない。
「そう、エージェントはそれなりに強いみたいだし、居たら居たで力になるわ」
「と、言ってもなあ……」
衛宮くんとセイバーさんは此方を見る。同盟反対?え、これ私の返事待ち?
気付けば凛ちゃんの後ろにアーチャーさんも居るし……。あ、これを背水の陣って言うのか。
「……枯捺は、どうだ?」
「え?」
「同盟について」
あ、これ私の返事待ちだったんだ。
私は慌てて考えた。確かに1人だったら確実にやられる。エージェントが言ってた。特に私みたいに何の取り柄もない一般人は……。……これ選択肢一つしかなくない?
「えっと……、か、勝ち負けはどうでもいいけど……。一緒にいれるなら、居たいなあ」
「――決まり、」
にっ、と凛ちゃんが笑う。あれ、私の中の凛ちゃんはこんなに野性的じゃなかったんだけどなあ。
「じゃあ、枯捺さん。早速なんだけど」
「うん?」
「明日から、ここに住みましょ」
………………ゑ?
「いいわよね、士郎」
「言っても聞かねぇくせに。……枯捺が良いなら、勿論俺は歓迎だ」
「あら、私の時と態度が違うじゃない」
「あのなあ……」
衛宮くんの家に居候?
え、やっぱりこれ夢なのかなあ。まあ、とりあえず、返事!
「お、お願いします!」
お母さんに早速許可取ろ!