短編小説

□大切な彼
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「ん〜…、」















朝からいつものように頭を抱えている私…






毎度の事ながら、どうすればいいか悩んでいる

















「何、変な顔してるんだ?」



「なっ!変な顔とは失礼な!!考え事してたの」



「ふ〜ん…で、その空っぽの頭で何を必死に考えてるんだ?」



「だ〜か〜ら〜、何でさっきから喧嘩を吹っかけてくんのさっ!」
















人が必死になって考えているというのに、この人は…!










―…この憎たらしい事しか口に出来ない男、日吉 若は私の婚約者



親の勝手な理由で、私達は不本意ながら婚約者となった





そんなこんなで私は今、若の家に住んでいる

(まぁ俗に言う”花嫁修行”って奴だ)
















「また”あの事”で悩んでるのか?」



「あの事って…簡単に言うけど、こっちは大変なんだからね?」

















そう、私がこう悩んでいる事…



それは”テニス部のマネージャーの勧誘”をどう断るか、だ








―…数ヶ月前、若に用事でテニスコートに向かった時、一人の人が倒れているのを発見した



誰だろう…と思い顔を覗き込むと、倒れていた人はテニス部の人だった

(名前は知らなかったけど、テニス部は有名だから顔だけは見た事ある為分かった)






放置する訳にもいかず、取り合えずテニスコートへと運んだ





その行動がナルシー泣き黒子異、部長の跡部さんに気に入られ、毎日凝りもせずテニス部のマネージャーの勧誘をされる



しかも最近ではレギュラー陣皆に気に入られちゃったみたいで、大変な事になって来てるし…





もういい加減諦めてくれないかな!?

(しかも倒れていた人は只寝てただけらしいし!)















「あ゛ぁぁぁぁ〜…、何であんな事しちゃったんだろう…」



「お前はお人好しなんだよ。そのまま放置しておけば良かったものを…」



「な…っ!?しょ、しょうがないじゃん!人が道端で倒れてたら普通、何かあったのかと思うじゃん!!」



「けどその結果がこれじゃないか」



「う゛ぅ…、まぁそうだけどさ。け、けどあの時若が間違えて私のお弁当を持っていくのが悪いんじゃん!あれがなければテニスコートになんか近付かないのに!!」
















そうだよ!


あんな騒がしい所に誰が好き好んで行きますかっ!!





それに皆と仲が良いと思われているのか、『これテニス部の人に渡して下さいっ!』ってプレゼントを渡されるし…本当に困ってるんだからね!?



だからもしマネージャーになんかなったりしたら、もっと大変な事になってしまう…







それだけは絶対に嫌っ!






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