短編小説

□自販機での出来事
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「謙也〜!絶対に負けへんでぇ〜!?」



「何言うてんねん!この浪速のスピードスターに勝てるなんて、百億万年早いっちゅー話やっ!!」



「これスピードと関係ないやんっ!」



「…何してはるんですか?先輩達…」














呆れた顔をして此方を見る、後輩の財前くん




あ…、後輩に恥ずかしい所見られてもうた……!














「いや〜…、私がジュース買おうとしてた所に謙也が来てウチの事驚かせてきよったんよ!でな、その時に百円玉落としてもうて…」



「で、一緒に探しとったら闘争心湧いてもうて、先に見つけた方が勝ちや!っちゅー事になったんや」



「…ホンマアホちゃいます?」














そう言うと大きなため息を吐いて、私達の間に入り自販機にお金を入れ、ジュースを買い始めた














「はい、」



「へ…?」



「○○さん、このジュース好きやったですよね?これあげるんでもう百円探さんでええですよ」



「えぇ!?それはアカン!後輩に奢って貰うなんて…!」



「後輩に奢って貰うより、こうやって自販機の前で四つん這いになって百円玉探しよる方がよっぽど恥ずかしいんとちゃいます?…素直に受け取って下さい」



「う゛ぅ…、あ、ありが…とう……」













ええですよ、と言って私の頭を優しく撫でる財前くん




ちょ…!後輩の癖に、何で私が頭撫でとるんよ!?

(絶対年上って思われてない…!)




しかもちょっとドキドキしてしまうやん…―












「じゃあこれで問題解決やな!じゃあ俺は…「何言ってはるんですか?謙也さんはまだ百円玉探して下さい」



「はぁ!?もうええやん!お前がジュース買ってやったんやから、もう百円玉いらんやん!!」



「それとこれとは話しが別やないですか。謙也さんが○○さんを驚かしたりせぇへんやったらこんな事にはならへんかったんちゃいます?」



「う゛ぅ…!こ、この鬼っ!!悪魔!」



「何言われてもええですよ。分かったらはよ探して下さい。ホンマの浪速のスピードスターやったら、百円玉くらいはよ見付られるんちゃいます?」



「何を…!?当たり前や!この浪速のスピードスター言われるこの俺を甞めるんやないで〜!!」













そう言うと謙也は必死になって百円玉を探し出した



その格好は傍から見ると、とても無様だった…―














「な、なぁ…、ウチもこうやって見えとったん?」



「…そうですよ。せやから恥ずかしい言うたやないですか。はよ止めて正解やったでしょ?」



「うん…。ホンマに有難う、財前くん」



「光、」



「へ…?」



「今度から光呼んで下さい。××さん」



「〜…!」



「クス…、せやけどさっきの××さんの格好、めっちゃ可愛いかったッスわ。もうやっぱ一回、百円玉探しません?」



「…!!する訳ないやん、この変態っ!」















どうやらこの小悪魔くんに心を持って行かれそうです…―







自販機での出来事
〜それは恋を予感させる出来事でした〜








 

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