a key to the secret
□第十一話
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〜日吉side〜
「はぁ…、」
「日吉、またため息付いてるよ。もう十回以上だよ?何かあった?」
朝練で鳳とラリーをしていると、心配そうな顔をして俺の顔を覗き込んできた
―…そりゃあため息だって出る
隣の家にあんな騒がしい女が引っ越して来たんだから…
関わらないと決めていたのに…―
アイツが引っ越してきた途端、親のウザ差が倍増した
『××ちゃん、とても可愛い!』とか『若のお嫁さんになればいいのに〜』とか家の中でアイツの事を聞かない日は無い
それにアイツの親は引っ越してきて直ぐに転勤とかで、アイツは常にウチに居る
正直ウンザリだ……
いつもの俺だと他人の事などお構いなしだから、俺に近付いてくる奴はトコトン無視してきた
それにアイツに関わっては、絶対に面倒な事に巻き込まれる気がする
だから無視しようとするのに、アイツは俺の中にどんどん入ってこようとする…
そして何時しか俺も、自然とアイツに関わってしまう…―
―…朝がいい例だ
普通なら話掛けたりせず、無視していけばいいのに、何故か俺はアイツに話しかけてしまった
アイツは人を寄せ付ける力でもあるかの様だ
本当に不思議な奴だ…―